本稿は、「ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP検定)」の1~3級(学科試験)で出題される頻出論点をまとめたものである。
今回のテーマは、「A ライフプランニングと資金計画」から「6つの係数」である。
資金計画のための6つの係数
- 終価係数・・・現在の資金を複利運用したら、将来いくらになるのか(終価)を求める。
- 現価係数・・・将来の目標金額のために現在いくら必要か(現価)を求める。
- 年金終価係数・・・毎年の積立額(年金形式)から、将来の元利合計(終価)を求める。
- 減債基金係数・・・将来の目標金額のために必要な毎年の積立額を求める。
- 資本回収係数・・・現在の額を運用しながら、受け取れる年金額や住宅ローンなどの借入金に対する利息を含めた毎年の返済額を求める。
- 年金現価係数・・・希望する年金額を受け取れるために必要な年金原資や住宅ローンなどの年間のローン返済額から借入可能額を求める。
試験対策としては、「どんな場合に、どの係数を使えばよいか」を覚えること。
1級においては、さらに、以下の関係を確認しておくとよい。
6つの係数の逆数
- 一時金運用の将来&現在を計算 終価係数&現価係数
- 積立て運用の将来&現在を計算 年金終価係数&減債基金係数
- 取崩し運用の将来&現在を計算 資本回収係数&年金現価係数
それぞれ、逆数(1÷他方の係数)となっており、片方の係数がわからないときは、
知りたい金額 = 元になる金額÷逆数となる係数
として使う。
出題例
3級
(31) 毎年一定金額を積み立てながら、一定の利率で複利運用した場合の一定期間経過後 の元利合計額を試算する際、毎年の積立額に乗じる係数は、( )である。
1) 減債基金係数
2) 資本回収係数
3) 年金終価係数
2022年5月試験 3級【第2問】
正解:3
一定金額を積み立てながら、一定期間経過後→将来なので、年金終価係数とわかる。
2級
問題 2
ライフプランの作成の際に活用される各種係数に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後の元利合計額を試算する際、現在保有する資金の額に乗じる係数は、終価係数である。
2.一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を積み立てた場合の一定期間経過後の元利合計額を試算する際、毎年の積立額に乗じる係数は、年金終価係数である。
3.一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を受け取るために必要な元本を試算する際、毎年受け取りたい金額に乗じる係数は、資本回収係数である。
4.一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、減債基金係数である。
2級 学科試験(2023年9月10日実施)
正解:3
1 正しい。
一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後の元利合計額を試算する際、現在保有する資金の額に乗じる係数は、終価係数である。
2 正しい。
一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を積み立てた場合の一定期間経過後の元利合計額を試算する際、毎年の積立額に乗じる係数は、年金終価係数である。
3 誤り。
一定の利率で複利運用しながら一定期間、毎年一定金額を受け取るために必要な元本を試算する際、毎年受け取りたい金額に乗じる係数は、年金現価係数である。
資本回収係数は、現在の額を運用しながら、受け取れる年金額や住宅ローンなどの借入金に対する利息を含めた毎年の返済額を求める。
4 正しい。
一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、減債基金係数である。
1級
《問1》 Aさん(45歳)は、65歳から10年間にわたって毎年1,000千円を受け取るために、65歳までの20年間、年金原資を毎年均等に積み立てることを考えている。この場合、45歳から65歳までの20年間の毎年の積立額として、次のうち最も適切なものはどれか。
なお、積立期間および取崩期間中の運用利回り(複利)は年3%とし、積立ておよび取崩しは年1回行うものとする。また、下記の係数表を利用して算出し、計算結果は千円未満を切り捨て、手数料や税金等は考慮しないものとする。
終価係数 | 現価係数 | 年金終価係数 | 減債基金係数 | 年金現価係数 | 資本回収係数 | |
10年 | 1.3439 | 0.7441 | 11.4639 | 0.0872 | 8.5302 | 0.1172 |
20年 | 1.8061 | 0.5537 | 26.8704 | 0.0372 | 14.8775 | 0.0672 |
30年 | 2.4273 | 0.4120 | 47.5754 | 0.0210 | 19.6004 | 0.0510 |
1) 317千円
2) 372千円
3) 412千円
4) 435千円
1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)
正解:1
まず、目標の年金額を受け取るために必要な年金原資を求める。
必要な年金原資 = 毎年の受取年金額 × 年金現価係数
1,000,000円 × 8.5302 = 8,530,200円
次に、20年間年利3%で複利運用しながら、目標額を積立てる場合に、必要な毎年の積立額を求める。
毎年の積立必要額 = 将来の目標金額 × 減債基金係数
8,530,200円 × 0.0372 = 317,323.44・・ → 317千円(千円未満切捨て)
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