本稿は、「管理業務主任者試験」の出題範囲のうち、「標準管理規約」の頻出論点をまとめたものである。
標準管理規約には、「単棟型」、「団地型」、「複合用途型」の3つの種類がある。
試験では、「単棟型」を中心に出題される。したがって、本ブログでは、「単棟型」を中心に掲載し、「団地型」、「複合用途型」は、ポイントを掲載するものとする。
専有部分の修繕等(17条)
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
(1)区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(修繕等)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
(1)区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(修繕等)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を申請し、書面又は電磁的方法による承認を受けなければならない。
(2)修繕等の申請を受けようとする場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。
(3)理事長は、修繕等の申請について、理事会の決議により、その承認又は不承認を決定しなければならない。
(4)承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
(5) 理事長又はその指定を受けた者は、施行に必要な範囲内において、修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合において、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
(6) 理事長の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事により共用部分又は他の専有部分に影響が生じた場合は、当該工事を発注した区分所有者の責任と負担により必要な措置をとらなければならない。
(7)区分所有者は、理事長の承認を要しない修繕等のうち、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中における共用部分又は他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を届け出なければならない。
第17条関係コメント(抜粋)
修繕等のうち、理事長の承認を必要とするものは、「共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのある」ものである。具体例としては、床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え、間取りの変更等がある。
本条は、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け、取替え工事に当たって、共用部分内に係る工事についても、理事長の承認を得れば、区分所有者が行うことができることも想定している。
承認を行うに当たっては、専門的な判断が必要となる場合も考えられることから、専門的知識を有する者(建築士、建築設備の専門家等)の意見を聴く等により専門家の協力を得ることを考慮する。 特に、フローリング工事の場合には、構造、工事の仕様、材料等により影響が異なるので、専門家への確認が必要である。
承認の判断に際して、調査等により特別な費用がかかる場合には、申請者に負担させることが適当である。
承認を受けないで、専有部分の修繕等の工事を行った場合には、第67条の規定により、理事長は、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うか、その差止め、排除又は原状回復のための必要な措置等をとることができる。修繕等の箇所への立入り、調査の結果、理事長に申請又は届出を行った内容と異なる内容の工事が行われている等の事実が確認された場合も、同様である。
(参考)
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