民法を学ぼう!「内縁(6)」

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民法 司法・法務

重婚的内縁

法律上の配偶者BのいるAが、 Cと事実上の夫婦共同生活を営んでいるという場合、AとCの関係は内縁として保護を受けることができるだろうか。
このように、当事者の一方または双方に法律上の配偶者がいる内縁を重婚的内縁という。
戦前は、公序良俗に反するとしてその保護が認められなかったが、現在では、「婚姻関係が実体を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込みのないとき、すなわち、事実上の離婚状態にある場合」には、 重婚的内縁の保護が認められている。
最判昭和58.4.14民集37巻 3 号 270頁

なお、 重婚的内縁も内縁の一類型であるから、婚姻意思をもって夫婦共同生活を営んでいることが必要であるが、これについては、通常の内縁よりも 厳格に判断される傾向がある。

戸籍上届出のある妻が、夫と事実上婚姻関係を解消することを合意したうえ、夫の死亡に至るまで長期間別居し、夫から事実上の離婚を前提とする養育料等の経済的給付を受け、婚姻関係が実体を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化し、一方、夫が他の女性と事実上の婚姻関係にあつたなど判示のような事情があるときは、右妻は、農林漁業団体職員共済組合法(昭和四六年法律第八五号による改正前のもの)二四条一項にいう配偶者にあたらない。
最判昭和58年4月14日民集 第37巻3号270頁

では、法律婚が「事実上の離婚状態」にあるかどうかはどのようにして判断されるのだろうか。

遺族給付等の受給資格をめぐり法律上の配偶者と重婚的内縁の配偶者が競合する場合には、法律婚の破綻の認定につき慎重な態度が取られていると指摘されている。

すなわち、法律婚の夫婦が別居しているだけではなく、離婚意思があること、配偶者や子との交流等がまったくないことまでもが必要とされる場合がある。
法律婚の配偶者に対して金銭給付を行っているような場合に法律婚の破綻を認定しない判例の傾向に対しては、法律婚の配偶者に対して誠意を尽くすほど重婚的内縁が保護されなくなり、不合理な結果が生じるとの批判がある。

参考)家族法[第4版]NBS (日評ベーシック・シリーズ)日本評論社

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