Ⅰ精神神経に作用する薬(5)
3 眠気を促す薬
1)代表的な配合成分等 主な副作用
ヒスタミンについて
<中枢>
脳内のヒスタミン→脳の下部で神経細胞の刺激を介して…→覚醒の維持や調節を担う。
< 末梢>
体内にアレルゲンが侵入すると……→肥満細胞からヒスタミンが出て…→鼻汁などの アレルギー症状がでる。
抗ヒスタミン成分を使用した場合→脳内におけるヒスタミン刺激 が低下し、眠気が生じる。
→アレルギー症状が抑えられる。
ヒスタミンは、ダニや花粉などのアレルゲンに反応して、 体の中にある肥満細胞という細胞からでてくる物質である。
①抗ヒスタミン成分:ジフェンヒドラミン塩酸塩など
●一時的な睡眠障害(寝つきが悪いなど)の緩和に用いる。
→慢性的に不眠症状がある人を対象とするものではない。
●妊娠中に生じる睡眠障害は、睡眠改善薬の適用対象ではない。
(妊婦への使用は避ける)
●小児や若年者では、抗ヒスタミン成分により、 眠気とは反対の神経過敏や中興奮などが現れることがある。
特に15歳未満の小児では副作用が起きやすいため、 使用は避ける。
②ブロモバレリル尿素、 アリルイソプロピルアセチル尿素
●少量でも眠気を催しやすい。
医薬品を使用した後は、乗り物や危険を伴う機械類の運転操作は避ける。
●ブロモバレリル尿素は胎児に障害を引き起こす可能性がある。
妊婦への使用は避ける。
生薬成分(神経の興奮 緊張緩和を期待 )
生藥成分 | 科名 | 使用部位 |
---|---|---|
チョウトウコウ | アカネ科 | とげ |
サンソウニン | クロウメモドキ科 | 種子 |
カノコソウ | オミナエシ科 | 根及び根茎 |
チャボトケイソウ | トケイソウ科 | 茎及び葉 |
ホップ | アサ科 | 果穂(かすい) |
生薬成分のみからなる鎮静薬であっても、長期連用は避ける。
漢方処方製剤(神経質、精神不安、不眠等の症状の改善)
体力 | 漢方処方製剤 | キーワード |
---|---|---|
体力中等度以上 | 柴胡加竜骨牡蛎湯 (さいこかりゅうこつぼれいとう) | 「高血圧の随伴症状」に適す |
体力中等度 | 抑肝散(よくかくさん) | 「イライラなどがある」 人に適す |
体力中等度以下 | 酸棗仁湯(さんそうにんとう) | 「心身が疲れ、精神不安、不眠など」があるものの不眠症に適す |
加味帰脾湯(かみきひとう ) | 「ときに熱感を伴うものの貧血」に適す | |
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう) | 「眼精疲労」 に適す |
「加味」とつく漢方処方製剤は 「加味帰脾湯」 「加味逍遥散」 があるが、どちらも体力中等度以下に適する製剤である。
(参考)
・登録販売者試験問題作成に関する手引き(令和7年4月)
・ズルい!合格法シリーズ ズルい!合格法 医薬品登録販売者試験対策 鷹の爪団直伝!参考書 Z超 株式会社医学アカデミーYTL(著)薬ゼミ情報教育センター
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