Ⅱ 呼吸器官に作用する薬(1)
①咳止め・痰を出しやすくする薬 (鎮咳去痰薬ちんがいきょたんやく)
(1) 咳や痰が生じる仕組み、鎮咳去痰薬の働き
・鎮咳去痰薬は、咳を鎮める (鎮咳)、 痰の切れを良くする (去痰)、 また、喘息症状を和らげることを目的とする医薬品の総称である
・咳:気管や気管支に何らかの異変が起こったときに、 その刺激が中枢神経系に伝わり、延髄 ※1にある咳嗽中枢※2の働きによって引き起こされる
・痰:呼吸器官に感染を起こしたときに、気道粘膜からの粘液分泌が増えて痰がつくられる
※1 延髄は、脳の一部であり、首のあたりに位置し、 呼吸の命令などを体に送るところ
※2 咳嗽中枢は、咳をしなさいと体に命令するところ
(2) 代表的な配合成分等、 主な副作用
作用 | 配合成分 |
---|---|
中枢神経系(延髄の咳嗽中枢) に 作用して咳を抑える (鎮咳) | 【麻薬性】 依存性あり コデイン、ジヒドロコデイン 副作用:便秘 |
ノスカピン、 デキストロメトルファン、 ジメモルファン | |
交感神経を刺激して気管支を 拡張させる(アドレナリン作動性) | メチルエフェドリン、 トリメトキノール、 メトキシフェナミン |
【生薬】 マオウ (作用が強く、依存性あり) | |
自律神経を介さずに気管支平滑筋に直接 作用して弛緩させ、気管支を拡張させる | ジプロフィリン |
痰の切れを良くする (去痰) | グアイフェネシン、カルボシステイン、ブロムヘキシン |
生薬成分 (鎮咳又は去痰)
作用 | 配合成分 |
---|---|
咳を抑える(鎮咳作用) | キョウニン、 ナンテンジツ、 ゴミシ |
痰の切れを良くする(去痰作用) | シャゼンソウ、キキョウ、セネガ、オンジ、セキサン、バクモンドウ (鎮咳作用もあり) |
交感神経刺激成分 (アドレナリン作動成分)の名前の法則性
交感神経刺激成分 (アドレナリン作動成分)は、交感神経節後線維の終末 から放出されるノルアドレナリンと同じ作用を体にもたらす。
気管支なら拡張だし、 血管なら収縮である。
その交感神経刺激成分 (アドレナリン作動成分)の名前の法則性として メトキ、ドリン、 ゾリン、 レフリンが入ってることを覚えておくと問題が 解きやすい。
入っているフレーズ | 交感神経刺激成分 (アドレナリン作動成分) | 主な配合目的 |
---|---|---|
メトキ~ | トリメトキノール、 メトキシフェナミン | 気管支拡張 |
~ドリン | メチルエフェドリン、 プソイドエフェドリン ※メチルエフェドリン、 プソイドエフェドリンはマオウの成分 | 気管支拡張、 血管収縮 |
~ゾリン | ナファゾリン、 テトラヒドロゾリン | 血管収縮 |
~レフリン | フェニレフリン | 血管収縮 |
漢方処方製剤(咳止めや痰を出しやすくする)
体力 | 漢方処方製剤 | キーワード | 含まれる生薬 (含む→含まない→x) | |||
カンゾウ | マオウ | ダイオウ | ||||
体力に関わらず | 甘草湯 | 外用では痔・脱肛の痛み | 〇 | ✖ | ✖ | |
体力中等度以上 | 五虎湯 | 発汗傾向の強い人には不向き | 咳が強く出るものの咳 | 〇 | 〇 | ✖ |
麻杏甘石湯 | のどが渇くものの咳 | 〇 | 〇 | ✖ | ||
体力中等度 | 神秘湯 | 咳が少ないものの小児喘息 | 〇 | 〇 | ✖ | |
半夏厚朴湯 | ・咽喉・食道部に異物感 ・喉のつかえ感 | ✖ | ✖ | ✖ | ||
柴朴湯 (小柴胡合半夏厚朴湯) | ・咽喉・食道部に異物感 ※「喉のつかえ感」は記載なし | 〇 | ✖ | ✖ | ||
体力中等度以下 | 麦門冬湯 | ・咽頭に乾燥感 ・水様痰の多い人には不向き | 〇 | ✖ | ✖ |
(参考)
・登録販売者試験問題作成に関する手引き(令和7年4月)
・ズルい!合格法シリーズ ズルい!合格法 医薬品登録販売者試験対策 鷹の爪団直伝!参考書 Z超 株式会社医学アカデミーYTL(著)薬ゼミ情報教育センター
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