Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬(1)
① 強心薬
1) 動悸、息切れ等を生じる原因と強心薬の働き
- 心臓は通常、自律神経系によって無意識のうちに調整がなされている
- 体の不調による動悸は、心臓の働きが低下して十分な血液を 送り出せなくなり、脈拍数を増やすことによってその不足を補おうとして起こる
※動悸・・心臓の拍動が強く若しくは速くなり、又は脈拍が乱れ、それが不快に感じられる状態
・体の不調による息切れは、心臓から十分な血液が送り出されないと体の各部への 酸素の供給が低下するため、 呼吸運動によって取り込む空気の量を増やすことで それを補おうとして起こる
※息切れ・・息をすると胸苦しさや不快感があり、 意識的な呼吸運動を必要とする状態
強心薬の働き
- 疲労やストレス等による軽度の心臓の働きの乱れについて、 心臓の働きを整えて、動悸や息切れ等の症状の改善を目的とする医薬品
- 心筋に作用して、その収縮力を高めるとされる成分(強心成分)を主体として配合される
2) 代表的な配合成分等、 主な副作用
生薬成分 (強心成分)
科名 | 生薬 | 特徴 |
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ヒキガエル科 | センソ | ・口中で噛み砕くと舌等が麻痺することがあるため、噛まずに服用すること ・有効域が比較的狭い (薬の作用が現れ、 毒性が現れない範囲が狭い) →1日5mgを超えて含有する医薬品は劇薬 に指定 |
ウシ科 | ゴオウ | 末梢血管の拡張による血圧低下、興奮を静める等 |
シカ科 | ジャコウ | ・雄の麝香腺分泌物を基原とする ・呼吸中枢を刺激して呼吸機能を高める |
ロクジョウ | ・雄鹿の角化していない幼角を基原とする ・強壮、血行促進等の作用あり |
※麝香腺分泌物・・メスを引きつけるフェロモンとして機能していると考えられている物質
生薬成分 (強心成分以外の配合成分)
生薬 | 特徴 |
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リュウノウ | フタバガキ科 中枢神経系の刺激作用による気つけの効果を期待 ※気つけ・・心臓の働きの低下による一時的なめまい、 立ちくらみ 等の症状に対して、 意識をはっきりさせたり、活力を回復させる効果のこと |
シンジュ | ウグイスガイ科 鎮静作用等を期待して用いる |
漢方処方製剤 (水毒の排出を促す)
【苓桂朮甘湯】
- 体力中等度以下に適する
- 強心作用が期待される生薬は含まれない
→主に利尿作用により、水毒 (漢方の考え方で、体の水分が停滞したり偏在して、その循環が悪いこと) の排出を促す - 構成生薬にカンゾウを含む
(参考)
・登録販売者試験問題作成に関する手引き(令和7年4月)
・ズルい!合格法シリーズ ズルい!合格法 医薬品登録販売者試験対策 鷹の爪団直伝!参考書 Z超 株式会社医学アカデミーYTL(著)薬ゼミ情報教育センター
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