婚約予約理論は、事実上の夫婦共同生活が営まれているという実態を度外視した理論だったため、不当破棄以外の問題に対応できるものではなかった。
そこで、学説においては、夫婦共同生活を営んでいるという社会的事実を重視し、内縁を婚姻に準ずる関係と捉えて、その保護を図ることが唱えられた。(準婚理論)
準婚理論とは、婚姻届を出していないが婚姻と同様の実態を有する内縁関係を、婚姻に準ずる関係と考える理論である。内縁の当事者の救済を目的としており、内縁関係でも婚姻関係と同様の法的効果を認めることを求めている。
判例も準婚理論を正面から承認するに至った。
いわゆる内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異るものではなく、これを婚姻に準ずる関係というを妨げない。(最判昭和33.4.11民集 第12巻5号789頁)
現在では、内縁に対する法的処遇はかなりの程度まで婚姻のそれに近づいている。
(参考)家族法[第4版]NBS (日評ベーシック・シリーズ)日本評論社
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