本稿は、「知的財産管理技能検定(知財検定という)」の3級の出題範囲の頻出論点をまとめたものである。
意匠権の発生
意匠登録出願について、登録査定を受け、登録査定の謄本の送達日から30日以内に第1年分の登録料の納付をし、意匠権の設定登録がされると、意匠権が発生する。(意匠法20条1項、2項)
なお、登録料の納付と同時に秘密意匠の請求をすることができる。
そして、意匠権の設定登録があったときは、意匠公報が発行される。(意匠法20条3項)
第2年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。(意匠法43条2項)
意匠権者は、期間内に登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、その期間の経過後6月以内にその登録料を追納することができる。(意匠法44条1項)
なお、意匠権者が登録料を追納することができる期間内にその登録料及び納付すべき割増登録料を納付しないときは、その意匠権は、規定された期間の経過の時に遡って消滅したものとみなされる。
(意匠法44条4項)
そして、消滅したものとみなされた意匠権の原意匠権者は、一定の要件の下、その登録料及び割増登録料を追納することができる。ただし、故意に、登録料を追納することができる期間内にその登録料及び割増登録料を納付しなかった場合は、追納することはできない。
(意匠法44条の2第1項)
意匠権の存続期間
意匠権の存続期間は、意匠登録出願の日から25年で終了する。
なお、特許法と異なり、存続期間を延長することはできない。
意匠権の譲渡
特許権と同時に、意匠権も第三者に譲渡することができる。
意匠権の活用
意匠権者の意思に基づくもの
専用実施権
意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。(意匠法27条1項本文)
なお、その意匠権について専用実施権を設定したときは、たとえ意匠権者であっても、専用実施権者がその登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する範囲については、それらを実施することはできない。(意匠法23条ただし書)
なお、専用実施権の設定は、特許庁に登録しなければ効力が発生しない。
通常実施権
意匠権者は、その意匠権について他人に通常実施権を許諾することができる。(意匠法28条)
意匠権者の意思に基づかないもの
会社に勤務する従業者が職務創作した場合、会社には通常実施権が認められる。(意匠法15条3項)
(先使用による通常実施権)意匠登録出願に係る意匠を知らないで自らその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をし、又は意匠登録出願に係る意匠を知らないでその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をした者から知得して、意匠登録出願の際、現に日本国内においてその意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠登録出願に係る意匠権について通常実施権を有する。
(意匠法29条)
(参考)
- 23~’24年版 知的財産管理技能検定®3級 テキスト&過去問題集 宇田川貴央 (著) 秀和システム
- 知的財産管理技能検定3級公式テキスト[改訂14版] 知的財産教育協会 (編集) アップロード
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