本稿は、「知的財産管理技能検定(知財検定という)」の3級の出題範囲の頻出論点をまとめたものである。
パリ条約
パリ条約(1883年)は、産業財産権に関する最も古い条約。
世界知的所有権機関(WIPO)が管轄している。工業所有権の国際的保護を促進するために締結された。
パリ条約の三大原則
- 内国民待遇
- 優先権(優先期間は、特許及び実用新案については12か月,意匠及び商標については6か月とする。)
- 各国の特許の独立
特許協力条約(PCT)
特許協力条約(PCT)は、発明の保護を目的として、一つの特許出願を多数国への特許出願として扱う「国際出願」という制度を定めた条約である。
PCT出願の流れ
- 国際出願(出願人は、自国の特許庁またはWIPO国際事務局に出願する。)
- 国際調査(すべてのPCT出願は、国際調査機関により、自動的に国際調査が行われる。)
- 国際公開(PCT出願の内容は、原則として、優先日から18ヶ月経過後に、WIPO国際事務局により公開される。)
- 国際予備審査(出願人は、国際予備審査機関に対し、国際予備審査を請求できる。)
- 国内移行手続(出願人は、実際に権利化を図りたい国に対しては、優先日から30か月以内に翻訳文を提出するなど、国内移行手続を取ることが必要である。)
TRIPS 協定
TRIPS協定とは、知的財産権の包括的な保護に関する条約である。
パリ条約の三大原則の一つである「内国民待遇」が採用されている。
さらに「最恵国待遇」も含まれている。
マドリッド協定議定書
マドリッド協定議定書は、商標について、世界知的所有権機関(WIPO)国際事務局が管理する国際登録簿に国際登録を受けることにより、指定締約国においてその保護を確保できることを内容とする条約である。
国際登録の存続期間は、国際登録日から10年(その後更新可能)。
ハーグ協定
ハーグ協定は、意匠の国際的保護に関する取り決めである。
ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく意匠の国際登録制度とは、WIPO国際事務局への一つの出願手続で、複数国(締結国)に同時に意匠出願した場合と同様の効果が得られる制度である。
さらに、ハーグ協定では、国際出願が国際登録簿に登録されると、保護を求めた複数の締結国において、意匠の保護が受けられる。
なお、国際登録の存続期間は、国際登録日から5年で、更新することができる。
特許法条約(PLT)
PLTは、各国で異なる特許出願等に関する手続の統一化及び簡素化を目的とし、出願人の利便性向上及び負担軽減を図る条約である。
ベルヌ条約
ベルヌ条約は、著作物を国際的に保護するための条約である。
- 内国民待遇
- 無方式主義・・著作物を創作すると、出願や登録しなくても著作者は著作権を有する
- 遡及効
商標法に関するシンガポール条約(STLT)
STLTは、各国で異なる商標登録出願等に関する手続の統一化及び簡素化を目的とし、出願人の利便性向上及び負担軽減を図る条約である。
(参考)
23~’24年版 知的財産管理技能検定®3級 テキスト&過去問題集 宇田川貴央 (著) (秀和システム)
知的財産管理技能検定3級公式テキスト[改訂14版] 知的財産教育協会 (編集) (アップロード)
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