民法を学ぼう!「離婚の方法(3)裁判離婚(その1)」

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司法・法務

裁判離婚とは

調停を経ても夫婦間で離婚の合意が出来なかった場合、離婚を望む一方は、他方を被告として、離婚の訴えを提起することになる。

裁判所は、民法770条1項に掲げられた離婚原因が存在するときは、判決により離婚を言い渡す。
このように成立する離婚を、裁判離婚または判決離婚という。

ただし、我が国では、夫婦間で離婚の合意が調えば離婚できる上、多少こじれても調停手続きで大方決着がつく場合が多い。したがって、離婚全体に占める裁判離婚の割合は1%程度に過ぎない。

離婚原因

では、どのような場合に裁判で離婚が認められるのであろうか。裁判所が離婚を言い渡すために必要とされる法定の原因を離婚原因という。裁判離婚には離婚が言い渡されてもやむを得ないと考えられる原因が必要となる。

離婚原因に関数する立法主義

離婚原因の定め方については、「有責主義」と「破綻主義」という考え方がある。

有責主義は、不貞行為や遺棄など、夫婦の一方に離婚から生じる義務の違反(有責行為)があるときに離婚を認める立場である。

これに対し、破綻主義は、婚姻が客観的に見て破綻しており、回復不能であると評価される場合に、当事者の有責性を問わず離婚を認める立法主義である。

明治民法においては、参考とした当時の西欧諸国の民法の影響を受け、有責主義の立場から一定の有責行為が既婚原因として掲げられていた。

戦後、家族法の抜本的な改正に伴い、憲法の理念に沿わない部分が改められるとともに、破綻主義を基調とする離婚原因が民法に導入されることになった。

(裁判上の離婚)
第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
(略)
(民法・e-Gov法令検索)

次回では、770条の構造と770条1項に掲げられた離婚原因を確認していく。

参考)家族法[第4版]NBS (日評ベーシック・シリーズ)日本評論社

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