民法を学ぼう!「 占有権(3)占有の訴え(2)占有の訴えの種類(1)占有回収の訴え」

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司法・法務

占有の訴えの種類

占有の訴えには、占有回収の訴え占有保持の訴え占有保全の訴えの3つがある。物権的請求権における、返還請求、妨害排除請求、妨害予防請求に対応する。

占有回収の訴え

Aが所持していたカバンをBに盗まれた場合のように、占有者Aが占有を侵奪されたとき、侵害者Bに対して物の返還および損害賠償を請求できる。これを、占有回収の訴えという (200条1項)。

(占有回収の訴え)
第200条 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
2 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。

占有の侵奪

占有回収の訴えには、占有が侵奪されたことが必要である。 AがBにだまされてカバンを渡した場合、 Aの意思に基づき占有が移転しており、占有が侵奪されたとはいえないので、 占有回収の訴えは認められない。 また、AがBにパソコンを賃貸したが、契約終了後にBが返却しない場合も、Aによる占有の訴えは認められない。

相手方

占有回収の訴えは、 誰に対しても認められるか。 AがBに自転車を盗まれた場合、Bが自転車を占有していれば、AのBに対する占有回収の訴えは認められる。
それでは、 BがCに自転車を売却し引き渡してしまった場合はどうか。

このとき、AのBに対する占有回収の訴えは認められない。Bは自転車を占有していないからである。 なお、AはBに対して、不法行為(709条)に基づく損害賠償を請求することは可能である。

(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

Aは、自転車の返還を請求するのであれば、現に占有しているCに対してする必要がある。ただし、Cが占有の侵奪につき善意であれば、AのCに対する占有回収の訴えは認められない (200条2項)。善意の承継人Cを保護する必要があるからである。なお、善意のCに対する占有回収の訴えが認められなくとも、所有権に基づく返還請求は可能である (193条)。

(占有回収の訴え)
第200条 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
2 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。
(盗品又は遺失物の回復)
第193条 前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

AがBに自転車を盗まれ、Bが自転車をCに賃貸している。 Aによる占有回収の訴えは、誰に対して認められるか。 まず、Bに対して認められる。Bが代理占有しているからである。 また、Cが占有の侵奪について善意でなければ、Cに対しても認められる。

損害賠償

占有回収の訴えによって、占有者は、占有の回復だけでなく、損害賠償を請求することもできる。ただ、損害賠償を請求するためには、不法行為(709条)の要件を満たす必要がある。すなわち、相手方の故意・過失による占有侵害、侵害による損害の発生などを立証することが必要となる。

提訴期間

占有回収の訴えは、占有を奪われた時から1年以内に提起しなければならない (201条3項)。 迅速に権利行使がなされなければ、 現在の侵害状態が新たに保護すべき占有状態となってしまうからである。

(占有の訴えの提起期間)
第201条 占有保持の訴えは、妨害の存する間又はその消滅した後一年以内に提起しなければならない。ただし、工事により占有物に損害を生じた場合において、その工事に着手した時から一年を経過し、又はその工事が完成したときは、これを提起することができない。
2 占有保全の訴えは、妨害の危険の存する間は、提起することができる。この場合において、工事により占有物に損害を生ずるおそれがあるときは、前項ただし書の規定を準用する。
3 占有回収の訴えは、占有を奪われた時から一年以内に提起しなければならない。

参考)物権法[第3版] NBS (日評ベーシック・シリーズ) 日本評論社

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