民法を学ぼう!「 占有権(13)費用償還請求権」

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司法・法務

費用償還請求権

A所有の甲建物を、無断でBが占有している。Bが、台風で損壊した甲の屋根を修繕し、また、浴室をリフォームした。この場合、BはAに費用の償還を請求できるか。 民法は、支出された費用が必要費有益費かを区別した上で、定めを置いている。

必要費の償還請求権

他人物の占有者は、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる (196条1項本文)。必要費とは、たとえば、建物の修繕費用や固定資産税である。 Bが不法占有者であっても、甲の屋根を修繕し、その結果、回復者Aが甲の原状を維持できているのであれば、費用はAが負担すべきである。

(占有者による費用の償還請求)
第196条 占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
2 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

ただし、果実を取得したBが善意占有者であった場合、 通常の必要費を回復者に償還請求することはできない(196条1項ただし書)。通常の必要費とは、電球の交換・庭の雑草処理費、税金の負担など、 日常的な使用にともなって必要とされる費用である。果実取得者は、占有物から生じた果実により利益を得ているので、占有物の保存に通常必要な費用を負担するのは当然である。
他方、台風などの災害で損壊した建物の修繕費は、これに当たらない。

有益費の償還請求権

他人物の占有者は、その物の改良のために支出した金額その他の有益費について、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者から償還させることができる。この償還額は、回復者が、支出した金額か増価額のいずれかを選択できる(196条2項本文)。
有益費とは、たとえば、 建物の増改築費用である。

有益費は、物の利用価値を増加させるための費用である。 物の維持に必要な費用ではないため、回復者が望まない場合に、この負担を負わされてはならない。 また、占有者による利得の押しつけがあってはならないため、価格の増加が現存している場合に限定され、かつ、回復者に選択権が認められている。
なお、悪意占有者が償還請求をした場合、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる(196条2項ただし書)。

参考)物権法[第3版] NBS (日評ベーシック・シリーズ) 日本評論社

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