知財検定まとめノート36「種苗法」

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お米 知財検定

本稿は、「知的財産管理技能検定(知財検定という)」の3級の出題範囲の頻出論点をまとめたものである。

種苗法の目的

新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。(種苗法1条)

なお、種苗法において、「品種」とは、重要な形質に係る特性の全部又は一部によって他の植物体の集合と区別することができ、かつ、その特性の全部を保持しつつ繁殖させることができる一の植物体の集合をいう。(種苗法2条2項)

保護方法

加盟国は、特許若しくは効果的な特別の制度又はこれらの組合せによって植物の品種の保護を定める。(TRIPS協定 27条(3)(b)より抜粋)

TRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)

植物の新品種は特許法に規定される新規性、進歩性などの要件を満たす可能性が低く、新品種自体は種苗法による保護が多いと考えられる。

品種登録要件

公知の品種から区別できること(区別性)

品種登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた他の品種と特性の全部又は一部によって明確に区別されること。(種苗法3条1項1号)

均一であること(均一性)

同一の繁殖の段階に属する植物体の全てが特性の全部において十分に類似していること。(種苗法3条1項2号)

安定していること(安定性)

繰り返し繁殖させた後においても特性の全部が変化しないこと。(種苗法3条1項3号)

譲渡されていないこと(未譲渡性)

品種登録は、出願品種の種苗又は収穫物が、日本国内において品種登録出願の日から1遡った日前に、外国において当該品種登録出願の日から4年(永年性植物にあっては、6年)遡った日前に、それぞれ業として譲渡されていた場合には、受けることができない。ただし、その譲渡が、試験若しくは研究のためのものである場合又は育成者の意に反してされたものである場合は、この限りでない。(種苗法4条2項)

名称が適切であること(名称の適切性)

第4条 品種登録は、出願品種の名称が次の各号のいずれかに該当する場合には、受けることができない。

 一の出願品種につき一でないとき。

 出願品種の種苗に係る登録商標又は当該種苗と類似の商品に係る登録商標と同一又は類似のものであるとき。

 出願品種の種苗又は当該種苗と類似の商品に関する役務に係る登録商標と同一又は類似のものであるとき。

 出願品種に関し誤認を生じ、又はその識別に関し混同を生ずるおそれがあるものであるとき(前二号に掲げる場合を除く。)

種苗法・e-GOV法令検索

出願手続

(品種登録出願)
第5条 品種登録を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した願書を農林水産大臣に提出しなければならない。

 出願者の氏名又は名称及び住所又は居所

 出願品種の属する農林水産植物の種類

 出願品種の名称

 出願者が保持していると思料する出願品種の特性

 出願品種の育成をした者の氏名及び住所又は居所

 前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項

 前項の願書には、農林水産省令で定めるところにより、農林水産省令で定める事項を記載した説明書及び出願品種の植物体の写真その他出願品種が同項第四号に掲げる特性を保持していることを証する資料を添付しなければならない。

 育成者が二人以上あるときは、これらの者が共同して品種登録出願をしなければならない。

種苗法・e-GOV法令検索

品種登録出願がされると、遅滞なく出願公表が行われる。(種苗法13条)

拒絶理由がなければ、農林水産大臣により品種登録がされる。
なお、農林水産大臣は、品種登録出願について拒絶しようとするときは、その出願者に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。(種苗法17条3項)

育成者権の効力とその制限

育成者権の効力

育成者権者は、品種登録を受けている品種(登録品種)及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種をとして利用する権利専有する。(種苗法20条1項)

存続期間

育成者権は、品種登録により発生し、その存続期間は、品種登録の日から25年永年性植物にあっては、30年)とする。(種苗法19条)

育成者権の効力が及ばない範囲

  • 新品種の育成その他の試験又は研究のためにする品種の利用(種苗法21条1項1号)
  • 登録品種(登録品種と特性により明確に区別されない品種を含む。)の育成をする方法についての特許権を有する者等が当該特許に係る方法により登録品種の種苗を生産し、又は当該種苗を調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、若しくはこれらの行為をする目的をもって保管する行為(種苗法21条1項2号)
  • 育成者権者等により登録品種等の種苗、収穫物又は加工品が譲渡されたときは、当該登録品種の育成者権の効力は、その譲渡された種苗、収穫物又は加工品の利用には及ばない。(種苗法21条2項)

(参考)
23~’24年版 知的財産管理技能検定®3級 テキスト&過去問題集  宇田川貴央 (著) 秀和システム
知的財産管理技能検定3級公式テキスト[改訂14版]  知的財産教育協会 (編集) アップロード

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