サーバとクライアント
ネットワークに接続されたコンピュータは、その役割からサーバとクライアントに分類できる。 サーバ (server)は、何らかのサービスを提供するコンピュータである。クライアント (client) は、サービスを利用するコンピュータである。
インターネットで利用されるサーバには、Webページの閲覧というサービスを提供する Webサーバや、メールの送受信というサービスを提供するメールサーバなどがある。
例を示そう。 下図は、A社という企業のネットワーク構成図である。 ネットワークを図示する方法には、特に決まりはないが、試験問題では、1本の直線でLANの通信ケーブルを表し、そのケーブルにサーバやクライアントが接続された図がよく使われる。

A社のネットワークには、クライアントA1、A2、 Web サーバA、及びメールサーバAが、 接続されている。 クライアントA1, A2は、Web サーバAが提供するWebページを閲覧でき、メールサーバAを使って、他のクライアントにメールを送れる。 ただし、 社外の Web サーバが提供するWebページを閲覧することや、 社外にメールを送ることはできない。なぜなら、A社のネットワークは、インターネットに接続されていないからである。
ネットワークとネットワークの間をつなぐルータ
ネットワークとネットワークの間をつなぐには、ルータ (router)と呼ばれる装置を使う。ルータは、データに付加された宛先IPアドレスを見て適切なネットワークにデータを中継する。
例を示そう。下図は、ルータを使って、A社のネットワークとB社のネットワークをつないだものである。 これによって、 A社のクライアントは、B社のWeb サーバB が提供するWebページを閲覧したり、B社のクライアントにメールを送ったりできる。 ルータが、A社のネットワークからB社の ネットワークにデータを中継してくれるからである。 ルータは、B社のネットワークからA社のネットワークにデータを中継することもできる。

ただし、実際には、ルータ1つだけで、 企業と企業の間を直接つなぐことは、ほとんどない。 インターネットの接続事業者であるプロバイダ(provider) を利用するのが一般的である(下図)。インターネットには、多数のプロバイダによる通信網があり、 世界中の企業をつないでいます。 多くの場合、プロバイダの通信網は、雲の絵で表す。

DNSサーバとDHCPサーバ
ネットワークで使われるサーバは、 Web サーバとメールサーバだけではない。 DNSサーバと DHCPサーバもよく使われる。 それぞれの役割を説明しよう。
DNSサーバの役割
インターネットでは、サーバやクライアントをIPアドレスという数値で試別している。例えば、翔泳社のWebサーバのIPアドレスは、 114.31.94.139 である。Web ブラウザのアドレス欄に、この数値を入力すれば、翔泳社のWeb ページを閲覧できる。 ただし、 数値を覚えるのは面倒なので、 翔泳社の Web サーバには、www.shoeisha.co.jp というわかりやすい名前が付けられている。 これをドメイン名と呼ぶ。
インターネットでサーバやクライアントを識別する手段は、あくまでもIPアドレスです。そこで、インターネットには、IPアドレスとドメイン名の対 応を保持したサーバが数多く用意されていて、ユーザが入力したドメイン名 をIPアドレスに変換してくれる。このサービスを提供するのが、DNS (Domain Name System) サーバである。
例えば、 Web ブラウザのアドレス欄に、 www.shoeisha. co.jp と入力すると、自動的にWebブラウザがDNSサーバに 「www.shoeisha. co.jp に対応するIPアドレスは何番ですか?」という問い合せを行う。 するとDNSサーバが 「114.31.94.139 です」 という回答をする。Web ブラウザは、 114.31.94.139 というIPアドレスを宛先として、 Webページの閲覧を要求し、Web サーバはデータ (Webページ) を送る。
DHCPサーバの役割
DHCPサーバは、コンピュータの起動時に、インターネットに接続するためのIPアドレスの設定などを自動的に行ってくれるサーバである。 DHCPは、 Dynamic Host Configuration Protocol (動的にホストを設定するプロトコル) の略である。 動的とは、一度設定したら変化しない固定的な設定ではなく、 コンピュータの起動時に毎回設定するという意味である (同じ設定が再利用されることもある)。 ホストとは、ネットワークに接続されたコンピュータや通信機器を意味する。 インターネットに接続するための設定は、手作業で 行うこともできるが、 間違えてしまう恐れがあるので、 DHCPサーバを利使用するのが一般的である。
プロトコルの種類
Webページの閲覧やメールの送受信など、用途に応じて様々なプロトコルが用意されています。 インターネットで使われる主なプロトコルを示す。
もちろんです。ご提示の各プロトコルについて、簡単にまとめます。これらはすべて TCP/IP ネットワークで使われる通信プロトコル で、それぞれ役割が異なります。
HTTP(HyperText Transfer Protocol)
- 役割:WebブラウザとWebサーバー間でWebページ(HTML、画像など)をやり取りするためのプロトコル。
- 特徴:
- クライアント(ブラウザ)がリクエストを送信 → サーバーがレスポンスを返す。
- URLを指定してアクセスする。
- 通常は TCP の ポート 80 を使用。
- 補足:暗号化版は HTTPS(ポート443)で、SSL/TLSを使う。
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)
- 役割:電子メールを送信するためのプロトコル。
- 特徴:
- メールクライアントからメールサーバーへ送信する場合にも使われる。
- メールサーバー間でのメール転送にも使用。
- TCP ポート 25(標準)、暗号化版は 465(SMTPS)や587(Submission)を使用。
POP3(Post Office Protocol version 3)
- 役割:メールサーバーからメールを受信するためのプロトコル。
- 特徴:
- メールをサーバーから取得してクライアントに保存。
- 基本的にサーバー上のメールは削除される(設定次第で保持も可能)。
- TCP ポート 110、SSL/TLS 版は 995。
FTP(File Transfer Protocol)
- 役割:ファイルの送受信(アップロード・ダウンロード)を行うプロトコル。
- 特徴:
- サーバーとクライアント間でファイル操作が可能。
- 認証(ユーザー名・パスワード)によるアクセス制御。
- TCP ポート 21(制御)、データ転送はポート20(アクティブモードの場合)。
- 暗号化なしで平文通信するため、セキュア版は SFTP や FTPS が使われる。
NTP(Network Time Protocol)
- 役割:ネットワーク上で時刻を正確に同期するためのプロトコル。
- 特徴:
- サーバーとクライアント間で時刻情報をやり取り。
- インターネット上のNTPサーバーに接続して時計を合わせる。
- UDP ポート 123 を使用。
Telnet
- 役割:ネットワーク経由で遠隔のコンピュータにログインするためのプロトコル。
- 特徴:
- 文字ベースでリモート操作可能。
- パスワードや通信内容が暗号化されず平文で送られるため、セキュリティが低い。
- TCP ポート 23 を使用。
- 補足:現在は安全性の観点から SSH に置き換えられることが多い。
SSH(Secure Shell)
- 役割:Telnetの代替として、暗号化通信で遠隔コンピュータにログインするためのプロトコル。
- 特徴:
- 通信内容は暗号化され、安全にリモート操作可能。
- TCP ポート 22 を使用。
- パスワード認証のほか、公開鍵認証も可能。
まとめ
| プロトコル | 役割 | 暗号化 |
|---|---|---|
| HTTP | Webページ閲覧 | なし(HTTPSはあり) |
| SMTP | メール送信 | オプション |
| POP3 | メール受信 | SSL/TLSで可 |
| FTP | ファイル転送 | FTPS/SFTPで暗号化可 |
| NTP | 時刻同期 | なし |
| Telnet | リモートログイン | なし |
| SSH | 安全なリモートログイン | あり |
SMTP & POP3
メールのプロトコルは、SMTP と POP3に分けられている。 クライアントとメールサーバの間は、 送信がSMTPで、 受信がPOP3である。 メールサーバとメールサーバの間は、送信も受信もSMTPであり、まとめて転送と呼ぶ。メールは、クライアントからクライアントに直接送られるのではなく、 メールサーバを介して間接的に送られる。
(参考)情報処理教科書 出るとこだけ!基本情報技術者[科目A][科目B]2025年版


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