2024年4月1日に施行される改正不動産登記法において、相続登記が義務化される。
そこで、今回は、「不動産登記制度」について取り上げる。
なお、本稿は、2024年2月現在の情報に基づいている。
不動産登記制度
不動産登記とは、登記所(法務局)にある不動産登記記録(登記簿)に不動産に関する権利関係(所有者や債権者)や土地の種類などを記載して、公示することである。
不動産登記
不動産登記記録は、表題部と権利部(甲区・乙区)から構成されている。
不動産登記は、土地は一筆ごと、建物は一個ごとに記録される。データ化されて登記所(法務局)に備えられている。
表題部
登記義務あり※
土地(登記原因、所在、地番、地目、地積など)
建物(登記原因、所在、家屋番号、種類、構造、床面積など)
※所有権を取得してから1か月以内に所有者が申請しなければならない。
権利部
登記義務なし※
甲区(所有権に関する事項(差押も含む))
乙区(所有権以外の権利に関する事項(抵当権、賃貸権など))
土地登記の地番、建物登記の家屋番号は、必ずしも住居表示と一致しない。
※相続登記の義務化
2024年4月1日以降は、相続登記が義務化される予定である。
相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になる。
正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性がある。
遺産分割(相続人間の話合い)で不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に、遺産分割の内容に応じた登記をする必要がある。
なお、2024年(令和6年)4月1日より前に相続した不動産も、相続登記がされていないものは、義務化の対象になる。この場合は、2027年(令和9年)3月31日までに相続登記をする必要がある。
(参考)法務省Webサイト「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
登記の効力
- 不動産の物権変動を公示する。
- 物権変動を第三者に対抗するための手段。(対抗要件)
対抗力
登記をすれば、権利を第三者に対抗できる。
(例外)借地上の建物を登記→借地権の登記なしで借地権を対抗できる。
建物の引渡し→借家権の登記なしで借家権を対抗できる。
登記には、公信力はなく、登記を信用し登記上の無権利者と取引した者は保護されない。
仮登記
仮登記だけでは第三者に対抗できないが、順位を保全する効力がある。
1号仮登記 | 実態上の権利変動は生じているが、書類の不備などの登記手続上の不備がある場合に行う登記 |
2号仮登記 | 予約契約など、実態上の権利変動が生じていない場合に、将来の権利変動の順位を保全しておくための登記 |
不動産登記の調査
誰でも、手数料を納付して、登記所において登記事項証明書や登記事項要約書の交付を受けることができる。
登記事項証明書
- 登記記録に記録されている事項の全部または一部を証明したもの。
- 登記官による認証文が記載されている。
- 窓口請求だけでなく郵送やオンライン請求ができる。(受領は窓口または郵送に限られる)
登記事項要約書
- 登記記録において現在効力のある事項を記載したもの。
- 登記官の氏名の記載や職印の押印はない。(窓口請求のみ)
その他の調査資料
調査資料と設置場所
登記所(法務局) | 登記事項証明書、地図、公図、地積測量図 |
市区町村役場 | 固定資産課税台帳、都市計画図 |
登記所(法務局)で閲覧できる調査資料
種類 | 内容 |
---|---|
公図 (精度は低い) | 旧土地台帳の付属地図。地図に準ずる図面。 |
不動産登記法14条地図 (精度は高い) | 土地の境界線を正確に示している。ただし、設置されていない土地も多い。 |
地積測量図 (精度は高い) | 土地の表題登記や分筆登記申請時に提出される図面。 すべての土地について存在するものではない。 |
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