I 人体の構造と働き(5)
1 胃・腸、肝臓、肺、心臓、腎臓などの内臓器官
血液
血液は、血漿と血球からなり、酸素や栄養分を全身の組織に供給し、二酸化炭素や老廃物を肺や腎臓へ運ぶほか、ホルモンの運搬によって体内各所の器官・組織相互の連絡を図る役割もある。
また、血液の循環によって、体内で発生した温熱が体表、肺、四肢の末端等に分配され、全身の温度をある程度均等に保つのに役立っている。
① 血漿
90%以上が水分からなり、アルブミン、グロブリン等のタンパク質のほか、微量の脂質、糖質、電解質を含む。
アルブミンは、血液の浸透圧を保持する(血漿成分が血管から組織中に漏れ出るのを防ぐ)働きがあるほか、ホルモンや医薬品の成分等と複合体を形成して、それらが血液によって運ばれるときに代謝や排泄を受けにくくする。
グロブリンは、その多くが、免疫反応において、体内に侵入した細菌やウイルス等の異物を特異的に認識する抗体としての役割を担うため、そういったものは免疫グロブリンとも呼ばれる。
脂質(中性脂肪、コレステロール等)は、血漿中のタンパク質と結合してリポタンパク質を形成し、血漿中に分散している。
なお、血液の粘稠性は、主として血漿の水分量や赤血球の量で決まり、血中脂質量はほとんど影響を与えない。
② 血球(赤血球、白血球、血小板)
【赤血球】
中央部がくぼんだ円盤状の細胞で、血液全体の約40%を占め、赤い血色素(ヘモグロビン)を含む。
ヘモグロビンは鉄分と結合したタンパク質で、酸素量の多いところ(肺胞の毛細血管)で酸素分子と結合し、酸素が少なく二酸化炭素が多いところ(末梢組織の毛細血管)で酸素分子を放出する性質がある。
このようなヘモグロビンの性質によって、肺で取り込まれた酸素が、全身の組織へ供給される(二酸化炭素はヘモグロビンとほとんど結合せず、血漿中に溶け込んで末梢組織から肺へ運ばれる)。
【白血球】
体内に侵入した細菌やウイルス等の異物に対する防御を受け持つ細胞である。形態や機能等の違いにより、数種類に細分類される。
好中球は、最も数が多く、白血球の約60%を占めている。血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができ、感染が起きた組織に遊走して集まり、細菌やウイルス等を食作用によって取り込んで分解する。
リンパ球は、白血球の約1/3を占め、血液のほかリンパ液にも分布して循環している。リンパ節、脾臓等のリンパ組織で増殖し、細菌、ウイルス等の異物を認識したり(T細胞リンパ球)、それらに対する抗体(免疫グロブリン)を産生する(B細胞リンパ球)。
単球は、白血球の約5%と少ないが最も大きく、強い食作用を持つ。血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができ、組織の中ではマクロファージ(貪食細胞)と呼ばれる。
これらのほか、アレルギーに関与する白血球もある。
【血小板】
血管が破れたり切れたりすると、血液が血管外に漏れ出す。血管だけでなく皮膚まで傷ついて血液が体の外に流れ出す出血(外出血)に対し、血液が組織の隙間や器官の内部に流れ込むことを内出血という。
生体には損傷した血管からの血液の流出を抑える仕組みが備わっており、血小板がその仕組みにおいて重要な役割を担っている。損傷した血管は、血管壁が収縮することで血流を減少させ、大量の血液が流出するのを防ぐ。同時に、損傷部位に血小板が粘着、凝集して傷口を覆う。このとき血小板から放出される酵素によって血液を凝固させる一連の反応が起こり、血漿タンパク質の一種であるフィブリノゲンが傷口で重合して線維状のフィブリンとなる。フィブリン線維に赤血球や血小板などが絡まり合い、血の凝固物(血餅)となって傷口をふさぎ、止血がなされる。
(参考)
・登録販売者試験問題作成に関する手引き(令和7年4月)
・ズルい!合格法シリーズ ズルい!合格法 医薬品登録販売者試験対策 鷹の爪団直伝!参考書 Z超 株式会社医学アカデミーYTL(著)薬ゼミ情報教育センター
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