民法を学ぼう!「婚姻の一般的効果(貞操義務)」

スポンサーリンク
司法・法務

貞操義務

夫婦は、配偶者以外の異性と肉体関係を持ってはならない。これが夫婦間の貞操義務である。

明文の規定はないが、不貞行為は離婚原因とされている(民法770条1項1号)ことを間接的な根拠とすることができる。

(裁判上の離婚)
第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
(略)
民法・e-Gov法令検索

また、不貞行為を理由として、損害賠償(慰謝料)を請求することができる。

ここで、問題になるのは、不貞の相手方にも慰謝料が請求できるかどうかということである。

 昭和 54 年の判決では、子からの慰謝料請求権を、「 妻及び未成年の子のある男性が他の女性と肉体関係を持ち、妻子のもとを去つて右女性と同棲するに至った結果、右未成年の子が日常生活において父親から愛情を注がれ、その監護、教育を受けることができなくなつたとしても、右女性の行為は、特段の事情のない限り、未成年の子に対して不法行為を構成するものではない。」と相当因果関係がないことを理由に否定したものの、配偶者については、
「夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意又は過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務があるというべきである。」と述べて、非常に広範囲に成立することを承認した。
最判昭54.3.30民集 第33巻2号303頁)

もっとも、平成8年の判決では、「甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わない。」(最判平8.3.26民集 第50巻4号993頁)として、慰謝料請求は無制限に認められるものではないとした。

参考)家族法[第4版]NBS (日評ベーシック・シリーズ)日本評論社


コメント

タイトルとURLをコピーしました