民法を学ぼう!「夫婦財産制・法定財産制(2)」

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司法・法務

婚姻費用の分担(760条)

(婚姻費用の分担)
第760条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
(民法・e-Gov法令検索)

別産制に服する夫婦間においても、夫婦生活の費用面においては協力し合わなければならない。

なお、「婚姻から生ずる費用」とは、夫婦の共同生活を維持するために必要な費用である。

分担方法の決定

具体的な分担方法については、夫婦がその協議によって決定する。

夫婦の一方が、現状に異を唱えて、裁判所で婚姻費用の分担について争わない限り、何ら問題はない。

夫婦の協議が調わない場合は、家庭裁判所における家事審判または、家事調停の手続において解決することになる。

760条は、「その資産、収入その他一切の事情を考慮」する旨が定められているだけなので、夫婦間の現実の争いがあると、まったく無力である。

そこで、算定の簡易迅速化・画一的処理を図るため、客観的な指標を用いた様々な算定方法が編み出された。「標準算定方式・算定表」と呼ばれる方法は、家庭裁判所での手続きにおいて広く活用されている。

婚姻関係の破綻と分担義務

夫婦間の一方から他方に対し、婚姻費用の分担請求が行われるのは、夫婦が別居中であり、婚姻関係が破綻に瀕しているかすでに破綻している場合がほとんどである。

なお、別居している夫婦間においても分担義務は認められる。
では、請求者の有責的な行いや破綻の程度によって、相手方の分担義務が軽減されたり、否定されたりするのか。

裁判例の動向としては、請求者に主として別居や破綻の責任がある場合には、信義則あるいは、権利濫用の見地から、分担請求を否定したり、相手方の分担額を軽減する例が多数を占める。

なお、最近では、破綻の程度に着目する裁判例はほとんど見られない。

参考)家族法[第4版]NBS (日評ベーシック・シリーズ)日本評論社

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