民法を学ぼう!「内縁(1)」

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司法・法務

内縁とは

内縁関係とは、婚姻の意思をもって共同生活し、社会的にも夫婦と認められているものの、婚姻届を提出していないため、法律上の正式な夫婦と認められない男女関係をいいます。
内縁の成立の有無は、同居期間の長さや挙式をしている等の事情から判断されます。
(法テラスのWebサイト)

明治民法施行後、内縁の夫婦が数多く生じた。家制度に関連する婚姻障害婚姻慣行のために届出をしようにもできない場合が数多くあった。

  • 婚姻には家の戸主(家長)の承認が必要であり、戸主が認めない場合は婚姻が成立しないことがあった。これは家の権威を強調するもので、個人の意思よりも家の利益が優先された。
  • 婚姻相手の家格(家の社会的地位)が一致していることが重要視された。家格が異なる場合、婚姻が難しくなることがあった。これは家の名誉や社会的地位を維持するためのものであった。
  • 家の後継者がいない場合、婿養子を迎えることが一般的であった。婿養子は妻の家に入って家名を継ぐため、婚姻によって男性が家を継ぐという慣行が存在した。

そして、「家風に合わない」などの理由で男性側が関係を一方的に破棄することがよくあり、不当に破棄された女性を救済する必要があった。

大審院による婚姻予約理論

民法は婚姻意思の合致と婚姻届出を婚姻の成立要件としており、婚姻と非婚姻を明確に区別している。大審院は当初、「婚姻予約」の法的効力を全面的に否定し、婚姻予約の不当破棄を理由とする損害賠償は認めていなかった。

大正4年1月26日に大審院民事連合部が下した判決は、「婚姻予約有効判決」として知られている。当事者の一方が「正当な理由もなくその契約に違反し、婚姻することを拒絶した」ときは、婚姻予約は有効であり、不当破棄者には損害賠償義務があるとした。

この判決の意義としては、
・内縁の法的保護をはかるために婚姻予約の理論を採用した最初の判決とされている。
・この予約理論は今日まで維持されている。
・内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに法律上の婚姻とはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異るものではないという考え方が定着していった。

◎大正4年1月26日民事連合部判決要旨

一 婚姻の予約は将来に於て婚姻を為すべきことを目的とする契約にして有効なり。
一 婚姻の予約は法律上之に依り履行を強制することを得ざるも当事者の一方が正当の理由なくして違約したる場合に於ては其一方は相手方が予約を信じたるか為めに被むりたる有形無形の損害を賠償する責に任ずべきものとす。
一 婚姻の予約不履行に因りて生じたる損害の賠償は違約を原因として請求することを要し不法行為を原因として請求すべきものに非ず

大審院民事判決録(民録)21輯49頁

参考)家族法[第4版]NBS (日評ベーシック・シリーズ)日本評論社

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