皮膚に用いる薬
外皮用薬は、皮膚表面に生じた創傷や症状、又は皮膚の下にある毛根、血管、筋組織、関節等の症状を改善・緩和するため、外用局所に直接適用される医薬品である。
使用する際の注意事項
- 適用する皮膚表面に汚れや皮脂が多く付着していると有効成分の浸透性が低下するため、患部を清浄にしてから使用することが重要である(水洗に限らず、清浄綿を用いて患部を清拭する等の方法でもよい)
- 表皮の角質層が柔らかくなることで有効成分が浸透しやすくなることから、入浴後に用いるのが効果的である。
剤形による取扱い上の注意
塗り薬(軟膏こう剤、クリーム剤)
薬剤を容器から直接指に取り、患部に塗布したあと、また指に取ることを繰り返すと、容器内に雑菌が混入するおそれがある。いったん手の甲などに必要量を取ってから患部に塗布することが望ましい。
貼付剤(テープ剤、パップ剤)
同じ部位に連続して貼付すると、かぶれ等を生じやすくなる。
スプレー剤、エアゾール剤
・強い刺激を生じるおそれがあるため、目の周囲や粘膜(口唇等)への使用は避ける。
・至近距離から噴霧したり、同じ部位に連続して噴霧すると、凍傷を起こすことがある。
・患部から十分離して噴霧し、また、連続して噴霧する時間は3秒以内とすることが望ましい。
傷口等の殺菌消毒薬
傷口等の殺菌消毒薬
殺菌消毒薬は、日常の生活において生じる、比較的小さなきり傷、擦り傷、掻き傷等の創傷面の化膿を防止すること、又は手指・皮膚の消毒を目的として使用される一般用医薬品である。
傷口等の殺菌消毒薬の主な配合成分
ヨウ素系殺菌消毒成分
ヨウ素による酸化作用により、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対して殺菌消毒作用を示す。ヨウ素の殺菌力はアルカリ性になると低下するため、石けん等と併用する場合には、石けん分をよく洗い落としてから使用する。
また、ヨウ素に対するアレルギーの既往がある人は、使用を避ける必要がある。
成分
ポビドンヨード
- ヨウ素をポリビニルピロリドン(PVP)と呼ばれる担体に結合させて水溶性とし、徐々にヨウ素が遊離して殺菌作用を示すように工夫されたもの。
- 口腔咽喉薬や含嗽薬として用いられる場合より高濃度で配合されているため、誤って原液を口腔くう粘膜に適用しないよう注意する必要がある。
- 結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対して殺菌消毒作用を示す。
ヨードチンキ
- ヨウ素及びヨウ化カリウムをエタノールに溶解させたもの。
- 皮膚刺激性が強く、粘膜(口唇等)や目の周りへの使用は避ける必要がある。
- 化膿している部位では、かえって症状を悪化させる。
- 結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対して殺菌消毒作用を示す。
アルコール系
手指・皮膚の消毒、器具類の消毒のほか、創傷面の殺菌・消毒にも用いられる。
皮膚刺激性が強いため、粘膜(口唇等)や目の周りへの使用は避ける必要がある。
成分
消毒用エタノール
- 皮膚刺激性が強いため、粘膜(口唇等)や目の周りへの使用は避ける必要がある。
- アルコール分が微生物のタンパク質を変性させ、それらの作用を消失させる。
- 結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対する殺菌消毒作用を示す。
陽性界面活性成分
いずれも石けんとの混合によって殺菌消毒効果が低下するので、石けんで洗浄した後に使用する場合には、石けんを十分に洗い流す必要がある。
成分
ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、セチルピリジニウム塩化物
- 黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌又はカンジダ等の真菌類に対する殺菌消毒作用を示す。結核菌やウイルスには効果がない。
その他の殺菌消毒成分
クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩
- 一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、結核菌やウイルスに対する殺菌消毒作用はない。
アクリノール
- 黄色の色素で、衣類等に付着すると黄色く着色し、脱色しにくくなることがある。
- 比較的刺激性が低く、創傷患部にしみにくい
- 一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿のう菌)に対する殺菌消毒作用を示すが、真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がない。
オキシドール(過酸化水素水)
- 一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿のう菌)に対する殺菌消毒作用。
- 過酸化水素の分解に伴って発生する活性酸素による酸化、及び発生する酸素による泡立ちによる物理的な洗浄効果であるため、作用の持続性は乏しく、また、組織への浸透性も低い。
- 刺激性があるため、目の周りへの使用は避ける必要がある。
イソプロピルメチルフェノール、チモール、フェノール(液状フェノール)、レゾルシン
- 細菌や真菌類のタンパク質を変性させることにより殺菌消毒作用を示す。
(参考)改訂版 この1冊で合格! 石川達也の登録販売者 テキスト&問題集 (KADOKAWA)、
登録販売者試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)
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