Jupyter Notebookとは何か?
Jupyter Notebookは、対話型の計算環境(インタラクティブ開発環境) であり、コードと実行結果、説明文、グラフなどを1つのドキュメントにまとめることができるツールである。主にPythonで使用されるが、R言語やJuliaなど他のプログラミング言語にも対応している。
「ノートブック」という名前の通り、実験ノートのようにコードを書き、実行し、結果を記録していくことができる。データ分析や機械学習の分野で広く使われており、以下のような便利な機能が付いている。
| 機能 | 内容 |
| Pythonコードの実行 | セル単位でPythonコードを実行し、すぐに結果を確認できる |
| Markdown対応 | 説明文や数式をMarkdownで記述可能(ドキュメントとしても使える) |
| グラフ描画 | matplotlib※1やseaborn※2などでグラフを表示可能 |
| ファイル操作 | CSVやExcelなどのデータを読み込んで処理できる |
| インタラクティブ | 変数を変更して再実行することで、すぐに結果を確認できる |
※1matplotlibは、Pythonで2Dや3Dのグラフを描画するためのライブラリである。
※2seabornとはPythonのデータ可視化ライブラリで、同じPythonの可視化ライブラリであるmatplotlibが内部で動いている。
それでは、GitHubリポジトリの設定からJupyter Notebookを起動するまでの手順をご紹介しよう。
1. 新しいGitHubリポジトリを作成する
まず、Jupyter Notebookをホストするためのリポジトリを作成する。

- GitHubにログインし、Dashboard画面左上の「Top repositories」の横の「New」をクリックしよう。
- 「Repository name」に任意の名前(例: jupyter-notebook-project)を入力しよう。
- 「Public」または「Private」を選択する。
- 「Add README」をONに入れると、後で設定が簡単になる。
- 「Create repository」ボタンをクリックして、リポジトリを作成しよう。
2. Codespacesの設定と起動
次に、作成したリポジトリでCodespacesを起動しよう。
- Dashboard画面から作成したリポジトリのページに移動し、緑色の「Code」ボタンをクリックしよう。
- ドロップダウンメニューの「Codespaces」タブを選択し、「+(Create codespace on main)」ボタンをクリックしよう。
- Codespaceがプロビジョニング※され、数分でブラウザにVS Codeのインターフェースが表示される。
※リソース(サーバー、ネットワーク、アプリケーション、ユーザーアカウントなど)を、需要に応じて準備、設定、割り当て、提供するプロセスのこと
3. Jupyter Notebookをインストールする
Codespacesは、事前に構成された開発環境を提供するが、Jupyter Notebookは通常、VS Codeの拡張機能として導入する。
最近のCodespaces環境では、Jupyter拡張機能が既にプリインストールされている場合がある。まず、拡張機能がインストールされているか確認しよう。
- VS Codeの左側にある拡張機能アイコン(四角が3つ並んだアイコン)をクリックしよう。
- 検索バーに「Jupyter」と入力しよう。
- Jupyter拡張機能を探し、「Install」ボタンをクリックしてインストールしよう。
この拡張機能が、ノートブックの表示・編集・実行を可能にする。

既にインストール済みの場合: 「Uninstall」や歯車マークが表示される → そのまま次のステップへ進もう。
インストールが必要な場合: 「Install」ボタンが表示される → クリックしてインストールしよう
4. Jupyter Notebookファイルを作成し、コードを実行する
拡張機能をインストールしたら、.ipynbファイルを作成してコードを書き始めよう。
- VS Codeのファイルエクスプローラー(左側のサイドバー)で「New File」ボタンをクリックしよう。
- ファイル名に「sample.ipynb」と入力し、Enterキーを押す。
- 新しいファイルが作成されると、Jupyter Notebookのインターフェースが自動的に開く。
- 表示されたセルに、Pythonコード(例: print(“Hello, GitHub Codespaces!”))を入力しよう。
- セルの左側にある再生ボタン(▶)をクリックするか、Shift + Enterを押してコードを実行しよう。
これにより、VS CODEの上でJupyter Notebookのコード実行結果を確認できる。これで、GitHub Codespacesをデータ分析や機械学習のサンドボックスとして利用する準備が整った。
以下にサンプルとして、九九を表示するコードをご紹介する。
import pandas as pd
# 九九の表を作成(1〜9の掛け算)
table = pd.DataFrame(
[[i * j for j in range(1, 10)] for i in range(1, 10)],
index=[f"{i}段" for i in range(1, 10)],
columns=[str(j) for j in range(1, 10)]
)
# Jupyter Notebook上で整形表示(中央揃え)
table.style.set_properties(**{'text-align': 'center'}).set_table_styles(
[{'selector': 'th', 'props': [('text-align', 'center')]}]
)実行結果
1 2 3 4 5 6 7 8 9
1段 1 2 3 4 5 6 7 8 9
2段 2 4 6 8 10 12 14 16 18
3段 3 6 9 12 15 18 21 24 27
4段 4 8 12 16 20 24 28 32 36
5段 5 10 15 20 25 30 35 40 45
6段 6 12 18 24 30 36 42 48 54
7段 7 14 21 28 35 42 49 56 63
8段 8 16 24 32 40 48 56 64 72
9段 9 18 27 36 45 54 63 72 81

- pandas.DataFrame で九九の表を作成する。
- style.set_properties() でセルを中央揃えにする。
- set_table_styles() でヘッダーも中央揃えにする。
5.作成したノートブックをGitHubに保存する
Jupyter Notebookで作業した内容は、Gitを使ってGitHubリポジトリに保存(コミット・プッシュ)することができる。これにより、作業履歴を残したり、他の人と共有したりすることが可能になる。
Gitとは?
Gitは、ファイルの変更履歴を記録・管理するバージョン管理システムのこと。作業の「セーブポイント」を作成し、いつでも過去の状態に戻ることができる。
基本的な流れ:
- 変更を記録(コミット) → ローカルに保存
- リモートに送信(プッシュ) → GitHubに反映
手順
ステップ1: 変更を確認する
- VS Codeの左側にあるソース管理アイコン(ブランチのようなアイコン)をクリックしよう
- 「Changes」の下に、変更されたファイル(例:
sample.ipynb)が表示される - ファイル名をクリックすると、変更内容を確認できる
ステップ2: 変更をステージングする
- 変更したファイル(
sample.ipynb)の右側にある**「+」マーク**をクリックしよう - ファイルが「Staged Changes」のセクションに移動する
※ステージングとは、コミットする準備として「この変更を記録対象にする」という意味である。
ステップ3: コミットメッセージを書く
- 上部の「Message」入力欄に、変更内容を説明するメッセージを入力しよう
- 例: 「九九の表を作成するノートブックを追加」
- 例: 「グラフ表示機能を追加」
- 「Commit」ボタン(チェックマークのアイコン)をクリックしよう
これで、変更がローカル(Codespaces環境内)に記録された。
ステップ4: GitHubにプッシュする
- ソース管理パネルの上部にある「Sync Changes」ボタン(または「…」メニューから「Push」)をクリックしよう
- 確認メッセージが表示されたら、「OK」または「Yes」 をクリックしよう
- 数秒後、変更がGitHubリポジトリに反映される
ステップ5: GitHubで確認する
- ブラウザでGitHubのリポジトリページ(https://github.com/あなたのユーザー名/jupyter-notebook-project)を開こう
sample.ipynbファイルが表示されていることを確認しよう- ファイルをクリックすると、GitHubがJupyter Notebookを自動的にレンダリングして表示してくれる
よく使うGitコマンド(ターミナルで操作する場合)
VS Codeのソース管理パネルではなく、ターミナルでコマンドを入力して操作することもできる。
# 変更されたファイルを確認
git status
# すべての変更をステージングに追加
# 特定のファイルだけをステージングに追加
git add sample.ipynb
# コミット(変更を記録)
git commit -m "九九の表を作成するノートブックを追加"
# GitHubにプッシュ(送信)
git push💡 Git操作のポイント
- こまめにコミット: 大きな変更を一度にコミットするのではなく、小さな変更ごとにコミットする習慣をつけよう
- わかりやすいメッセージ: 「update」や「fix」だけでなく、「何を変更したか」を具体的に書こう
- プッシュを忘れずに: コミットだけではGitHubに反映されません。必ずプッシュしよう
これで、GitHub Codespacesで作成したJupyter Notebookを、GitHubリポジトリに保存して管理できるようになった!



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