本稿は、「知的財産管理技能検定(知財検定という)」の3級の出題範囲の頻出論点をまとめたものである。
意匠権の効力
意匠権の効力は、登録意匠と同一の意匠だけでなく、類似する意匠にも及ぶ。
意匠が、同一、類似または非類似かは、意匠に係る物品等と意匠の形状等に基づいて判断される。
対比する意匠の類比
物品等 | ||||
同一 | 類似 | 非類似 | ||
形状等 | 同一 | 同一 | 類似 | 非類似 |
類似 | 類似 | 類似 | 非類似 | |
非類似 | 非類似 | 非類似 | 非類似 |
意匠権の効力は、登録意匠と物品等が同一・類似であり、かつ形状等が同一・類似である範囲に及ぶ。
意匠権侵害を発見時の対応(意匠権者側)
意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。(意匠法23条本文)
登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添附した図面に記載され又は願書に添附した写真、ひな形若しくは見本により現わされた意匠に基いて定めなければならない。(意匠法24条1項)
そして、登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとする。(意匠法24条2項)
意匠権侵害していると思われる意匠が、自己の登録意匠等の範囲に属していることを確認すると、損害者に警告書を送ることになる。
それでも実施をやめない場合、特許権侵害の場合と同様に、差止請求(意匠法37条1項)、損害賠償請求(民法709条)、不当利得返還請求(民法703条、704条)、信用回復措置請求(意匠法41条)をすることが可能である。
意匠権又は専用実施権を侵害した者は、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科される。(意匠法69条)
意匠権侵害と警告されたときの対応(実施者側)
意匠権侵害と警告されたときには、まずは、「意匠原簿」で確認する必要がある。
実施品が、意匠権の侵害に当たると判断した場合、無効理由の有無を調べる。
そして、無効理由が存在するならば、意匠登録無効審判(意匠法48条)を請求できる。
(参考)
- 23~’24年版 知的財産管理技能検定®3級 テキスト&過去問題集 宇田川貴央 (著) 秀和システム
- 知的財産管理技能検定3級公式テキスト[改訂14版] 知的財産教育協会 (編集) アップロード
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