登記手続
共同申請主義
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。(不動産登記法60条)
登記権利者・・当該登記が行われることにより、登記上の利益を受ける者
登記義務者・・当該登記が行われることにより、登記上の不利益を受ける登記名義人
不利益を受ける登記義務者が登記申請に関与することにより、登記申請の真正性を担保する。
例外
・意思表示に代わる判決による登記(不動産登記法63条1項)
・相続による登記(同2項)
(判決による登記等)
第63条 第60条、第65条又は第89第1項(同条第2項(第95条第2項において準用する場合を含む。)及び第95第2項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
2 相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
3 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第60条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。
(不動産登記法・e-Gov法令検索)
・所有権保存登記(不動産登記法74条1項1号)
登記義務者を観念できないため共同申請主義は妥当しない。
権利に関する登記
原則として任意である。
例外
不動産所有権の相続登記
所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。(不動産登記法76条の2第1項)
この申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処せられる。(不動産登記法164条1項)
なお、この相続登記申請義務は、相続人が相続の発生と自らが相続人である旨を申告することで、履行されたものとみなされる。(不動産登記法76条の3)
(相続人である旨の申出等)
第76条の3 前条第1項の規定により所有権の移転の登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる。
2 前条第一項に規定する期間内に前項の規定による申出をした者は、同条第1項に規定する所有権の取得(当該申出の前にされた遺産の分割によるものを除く。)に係る所有権の移転の登記を申請する義務を履行したものとみなす。
3 登記官は、第1項の規定による申出があったときは、職権で、その旨並びに当該申出をした者の氏名及び住所その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができる。
4 第1項の規定による申出をした者は、その後の遺産の分割によって所有権を取得したとき(前条第1項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したときを除く。)は、当該遺産の分割の日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
5 前項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、同項の規定による登記がされた場合には、適用しない。
6 第1項の規定による申出の手続及び第三項の規定による登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。
(不動産登記法・e-Gov法令検索)
相続登記の申請義務化に関するQ&A(法務省のWebサイト)
(参考)物権法[第3版] NBS (日評ベーシック・シリーズ) 日本評論社
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