民法を学ぼう!「動産物権変動(12) 即時取得(5)「占有を始めた」の意義(2)

スポンサーリンク
司法・法務

(2)指図による占有移転

指図による占有移転は、「占有を始めた」 に当たるか。
たとえば、次のケースにおいて、即時取得が成立するかどうかが問題となる。
①Aは、Bに対し、 自分が所有する工作機械(甲) の保管を委ねた。 Cは、Bから甲を買い受けるであるとして、そのことを過失なく信じているDに甲を売却した。Cは、Dと 一方で、 Bに対し、 そのまま甲の保管を委ねた。 その後、Cは、甲が自分の物 の間の合意に基づいて、 所有者が交替した旨をBに伝えた。
②Aは、Bに対し、自分が所有する工作機械 (甲) の保管を委ねた。 その後、Bは、Cに対 し、甲の保管を委ねた。 B は、 甲が自分の物であるとして、そのことを過失なく信じているDに甲を売却した。 Bは、Dとの間の合意に基づいて所有者が交替した旨をCに伝えた。

判例のなかには、①の類型に属する事案について、即時取得を認めなかったもの(大判昭和8・2・13新聞3520号11頁)と、②の類型に属する事案について、 即時取得を認めたもの(最判昭和57・9・7民集36巻8号1527頁)とがある。
この違いは、次のように説明することができる。 ①では、 一般外観上、 従来の占有状態に変更が生じていない。 そこで、 占有改定による引渡しがされたときと同一の判断がされた
他方、② では、一般外観上、 従来の占有状態に変更が生じている。 そこで、②は、①とは事案が異なるものと評価された。

参考)物権法[第3版] NBS (日評ベーシック・シリーズ) 日本評論社

コメント

タイトルとURLをコピーしました