今回のテーマは、「不動産登記(1)登記記録・登記の種類」である。
登記記録
登記記録は各不動産に用意される。
登記記録とは、表示に関する登記又は権利に関する登記について、一筆の土地又は一個の建物ごとに作成される電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)をいう。
(不動産登記法2条5号)
一つの不動産登記の対象である一つの土地として限定された範囲の土地のことを、一筆の土地という。
様式
登記記録は、表題部と権利部に分けられる。
表題部
表示に関する登記とは、不動産の表示に関する登記をいう。(不登法2条3号)
表題部とは登記記録のうち、表示に関する登記が記録される部分をいう。(不登法2条7号)
表題部は、どの不動産が当該登記記録の対象物なのかを表している。
(土地の表示に関する登記の登記事項)
第34条 土地の表示に関する登記の登記事項は、第27条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 土地の所在する市、区、郡、町、村及び字
二 地番
三 地目
四 地積
(略)
(建物の表示に関する登記の登記事項)
第44条 建物の表示に関する登記の登記事項は、第27条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
二 家屋番号
三 建物の種類、構造及び床面積
四 建物の名称があるときは、その名称
五 附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積
六 建物が共用部分又は団地共用部分であるときは、その旨
七 建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積
八 建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称
(略)
(不動産登記法・e-GOV法令検索)
表示登記は、当事者の申請によってされるのが原則であるが(不登法16条1項)、登記官の職権によってもなされる。(同28条)
権利部
権利部とは登記記録のうち、権利に関する登記が記録される部分をいう。(不登法2条8号)
権利部には、目的不動産の権利に関する登記がなされる。
(登記することができる権利等)
第3条 登記は、不動産の表示又は不動産についての次に掲げる権利の保存等(保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅をいう。次条第二項及び第百五条第一号において同じ。)についてする。
一 所有権
二 地上権
三 永小作権
四 地役権
五 先取特権
六 質権
七 抵当権
八 賃借権
九 配偶者居住権
十 採石権(採石法(昭和二十五年法律第二百九十一号)に規定する採石権をいう。第五十条、第七十条第二項及び第八十二条において同じ。)
(不動産登記法・e-GOV法令検索)
所有権に関する登記は、甲区になされ、それ以外の権利に関する登記は乙区になされる。
表示登記とは異なり、権利に関する登記を行うには当事者による申請がなされなければならない。(不登法16条1項)
登記の種類
本登記
本登記とは、権利の対抗力を直接発生させることができる登記である。
仮登記
仮登記とは、本登記を行う予定であるが、その要件がまだ満たされていない場合に行われる。
(仮登記)
第105条 仮登記は、次に掲げる場合にすることができる。
一 第3条各号に掲げる権利について保存等があった場合において、当該保存等に係る登記の申請をするために登記所に対し提供しなければならない情報であって、第25条第9号の申請情報と併せて提供しなければならないものとされているもののうち法務省令で定めるものを提供することができないとき。
二 第3条各号に掲げる権利の設定、移転、変更又は消滅に関して請求権(始期付き又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれるものを含む。)を保全しようとするとき。
(不動産登記法・e-GOV法令検索)
仮登記がなされた後、当該仮登記に関する本登記が行われると、その本登記の順位は仮登記の順位に従うことになる。(不登法106条)→順位保全効
(参考)物権法[第3版] NBS (日評ベーシック・シリーズ) 日本評論社
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