Rustとは?
Rustは、安全性、速度、並行性を重視したシステムプログラミング言語である。
Rustの特徴
1. メモリ安全性
- ガベージコレクタなしでメモリ安全を保証
- コンパイル時にメモリエラーを検出
- バッファオーバーフローやヌルポインタ参照を防ぐ
2. 高速性
- C/C++に匹敵する実行速度
- ゼロコスト抽象化
- 効率的なメモリ使用
3. 並行処理の安全性
- データ競合をコンパイル時に防ぐ
- 安全なマルチスレッドプログラミング
4. 優れた開発体験
- 親切なエラーメッセージ
- 強力なパッケージマネージャ(Cargo)
- 充実したドキュメント
なぜRustを学ぶのか?
1. 需要の高まり
- Microsoft、Amazon、Google、Meta等の大企業が採用している。
- システムプログラミング、組み込み、Web開発など幅広い分野で利用される。
2. キャリアの選択肢が広がる
活用分野
- オペレーティングシステム開発
- Webブラウザエンジン(Firefox等)
- ゲームエンジン
- ブロックチェーン
- IoT・組み込みシステム
- WebAssembly
- CLI(コマンドラインツール)
- バックエンドAPI開発
3. プログラミングの本質的理解
Rustを学ぶことで以下の概念が深く理解できる。
- 所有権(Ownership) – メモリ管理の仕組み
- 型システム – 安全なプログラム設計
- 並行処理 – マルチスレッドプログラミング
- ライフタイム – リソース管理
これらの知識は他の言語にも応用できる普遍的なスキルである。
4. セキュリティとパフォーマンスの両立
- メモリ安全性のバグはセキュリティ脆弱性の約70%を占める
- Rustはこれらを言語レベルで防止
- 高速性を犠牲にせず安全性を実現
(初心者向け)GitHub CodespacesでRustを始めるガイド
このガイドでは、プログラミング初心者の方が、GitHub CodespacesでRustの開発環境を作る方法を紹介しよう。
必要なもの
- GitHubアカウント(無料で作成できる)
- インターネット
- Webブラウザ(Chrome、Firefox、Edgeなど)
※パソコンに何もインストールする必要はない。
ステップ1:GitHubアカウントを作成(持っていない場合)
- https://github.com にアクセスしよう。
- 「Sign up」をクリックしよう。
- メールアドレス、パスワード、ユーザー名を入力しよう。
- メールで届く認証コードを入力しよう。
ステップ2:新しいリポジトリを作成
2-1. リポジトリ作成ページを開く
- GitHubにログインしよう。
- 左上の「Top repositories 」の隣の「New」ボタン をクリックしよう。
2-2. リポジトリの設定
以下のように入力しよう。
- Repository name(リポジトリ名):
rust-practice- 好きな名前でOKだが、英数字とハイフンのみ使える。
- 日本語は使えない。
- Description(説明):
Rustの学習用リポジトリ- 空欄でもOK。
- Public / Private
- Public: 誰でも見られる(推奨)
- Private: 自分だけが見られる
- 「Add a README file」は必ずチェックしよう
- 「Add .gitignore」と「Choose a license」は選択不要である。
2-3. リポジトリを作成
緑色の 「Create repository」 ボタンをクリックしよう。
→ リポジトリが作成される。
ステップ3:Codespacesを起動
3-1. Codespacesを開く
- 作成したリポジトリのページで、緑色の 「<> Code」 ボタンをクリックしよう。
- 「Codespaces」 タブを選択しよう。
- 「Create codespace on main」 をクリックしよう。
3-2. 起動を待つ
- 初回は1〜2分かかる。
- VSCode(コードエディタ)が開く。
画面の見方
- 左側:ファイル一覧
- 中央:コードを書く場所
- 下部:ターミナル(黒い画面)
ステップ4:Dev Containerを設定(次回から自動セットアップ)
一度この設定をGitHubに保存しておけば、今使っているCodespacesを削除して新しく作り直しても、別のPCからアクセスしても、常にRust環境が整った状態で始められる。
4-1. .devcontainerフォルダを作成
- 左側のファイル一覧の空白部分を 右クリックする
- 「新しいフォルダー」 を選択
.devcontainerと入力する(最初の.を忘れずに!)- Enterキーを押す
4-2. devcontainer.jsonファイルを作成
- 作成した
.devcontainerフォルダを 右クリックする - 「新しいファイル」 を選択
devcontainer.jsonと入力する- Enterキーを押す
4-3. 設定内容を貼り付け
開いたdevcontainer.jsonファイルに、以下をコピー&ペーストしよう。
{
"name": "Rust",
"image": "mcr.microsoft.com/devcontainers/rust:latest",
"customizations": {
"vscode": {
"extensions": [
"rust-lang.rust-analyzer"
]
}
}
}
4-4. ファイルを保存
- Ctrl + S
- または、メニューの「ファイル」→「保存」
4-5. GitHubに保存(コミット&プッシュ)
ターミナルで、以下のコマンドを1行ずつコピー&ペーストして、Enterキーを押す。
git add .git commit -m "Add dev container for Rust"
git pushgit statusnothing to commit, working tree clean上記の通り表示されればOKである。
ステップ5:Rustをインストール(初回のみ)
5-1. インストールコマンドを実行
ターミナルで、以下をコピー&ペーストしてEnterキーを押す。
curl --proto '=https' --tlsv1.2 -sSf https://sh.rustup.rs | sh -s -- -yインストールには時間がかかる。(1〜2分)
5-2. 環境を読み込む
続けて以下を実行しよう。
source $HOME/.cargo/env5-3. 確認
以下を実行して、バージョン番号が表示されればOK。
rustc --version例: rustc 1.XX.X のように表示される。
ステップ6:最初のRustプログラムを作る
6-1. プロジェクトを作成
ターミナルで以下を実行しよう。
cargo new hello_rust6-2. プロジェクトフォルダに移動
cd hello_rust6-3. プログラムを実行
cargo run「Hello, world!」と表示されれば成功である。
ステップ7:コードを編集してみる
7-1. ファイルを開く
左側のファイル一覧で、
hello_rustフォルダをクリックsrcフォルダをクリックmain.rsファイルをクリック
7-2. コードを変更
中央の画面に表示されているコードを以下のように変更してみよう。
fn main() {
println!("こんにちは、Rustの世界へようこそ!");
println!("これが私の最初のRustプログラムです!");
}
7-3. 保存して実行
- ファイルを保存(Ctrl+S )
- ターミナルで実行:
cargo run変更した内容が表示されれば成功である。
ステップ8:コミット&プッシュ
作成したコードをGitHubに保存しよう。
8-1. リポジトリのルートに移動
ターミナルで以下を実行する
cd /workspaces/rust-practice重要: Git操作は必ずリポジトリのルート(/workspaces/rust-practice)で行うこと。
8-2. 変更を確認
git statusどのファイルが変更されているか確認できる。
8-3. 変更をステージングに追加
git add ..(ドット)の意味: 現在のディレクトリ以下の全ての変更を追加
8-4. コミット(保存)
git commit -m "Add hello_rust project"-m "メッセージ"の意味: 何を変更したかの説明を書く
8-5. プッシュ(GitHubにアップロード)
git pushこれでGitHub上にコードが保存される。
7-6. GitHubで確認
1.ブラウザで自分のリポジトリページにアクセスしよう。
確認方法
git remote -v表示されるURLをコピーして、ブラウザのアドレスバーに貼り付けよう。
**表示例**
origin https://github.com/ユーザー名/rust-practice.git (fetch)
origin https://github.com/ユーザー名/rust-practice.git (push).git以下を削除して、https://github.com/ユーザー名/rust-practiceにアクセスする。
hello_rustフォルダができているか確認できる。
まとめ:Gitの基本操作3ステップ
git add . # 1. ステージングに追加
git commit -m "説明" # 2. コミット(保存)
git push # 3. プッシュ(アップロード)これを覚えておけば、いつでもコードを保存できる!
よくあるトラブルと解決方法
Q1. ターミナルが表示されない
解決方法:
- 上部メニューの「ターミナル」→「新しいターミナル」をクリックする。
- または、Ctrl+Shift+Cを押す。
Q2. 「git index.lock」エラーが出る
解決方法
cd /workspaces/rust-practice
rm -f .git/index.lockその後、再度git操作を実行してみよう。
Q3. Codespacesが重い・遅い
解決方法
- ブラウザのタブを減らす
- 他のアプリケーションを閉じる
- 少し待ってから操作する
Q4. コマンドを間違えた
解決方法
- ターミナルで Ctrl+C を押すと、実行中の処理を中断できる。
次のステップ
セットアップが完了したら、次のように学習を進めてみよう。
おすすめの学習順序
- 変数と型 – データの扱い方を学ぶ
- 関数 – コードを整理する方法
- 制御構文 – if、loop、forなど
- 所有権 – Rustの核心概念(最重要!)
- 構造体とEnum – データを構造化する
- エラー処理 – 安全なプログラムの書き方
便利なショートカット
ファイル操作
- Ctrl+S : 保存
- Ctrl+N : 新規ファイル
ターミナル操作
- Ctrl+C: 実行中の処理を中断
- ↑キー: 前のコマンドを表示
- Ctrl+L: ターミナルをクリア
コード編集
- Ctrl+Z : 元に戻す
- Ctrl+/: コメントの切り替え
- Ctrl+Space: コード補完
注意点
Codespacesの無料枠
GitHubの無料アカウントでは、月に一定時間まで無料でCodespacesを使える。
節約のコツ
- 使わないときは停止する。
- ブラウザのタブを閉じても、Codespacesは動き続ける。
- 手動で停止する方法
- 作成したリポジトリのページで、緑色の 「<> Code」 ボタンをクリック。
- 「Codespaces」 タブを選択しよう。
- 三点メニューから「Stop codespace」をクリック。
データの保存
- Codespacesで作ったファイルは自動的にGitHub上に残る。
- ただし、必ずgit commit & pushをしておこう。
- そうしないと、Codespacesを削除したときに消えてしまう。
困ったときは
- 公式ドキュメント: https://www.rust-lang.org/ja
- Rust日本語フォーラム: https://rust-jp.rs/
- GitHub Docs: https://docs.github.com/ja


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