Python(パイソン)はとても人気があるプログラミング言語である。その理由は、覚えやすく、使いやすいシンプルな文法、ライブラリが豊富なことが挙げられる。特に、AI(人工知能)やデータ分析向けのライブラリが充実している。
本ブログでは、比較的入手し易いと思われる「Python」の初学者向けテキストを選書して、ご紹介している。(2023年2月現在)
今回ご紹介するのは、「Pythonでチャレンジするプログラミング入門 ――もう挫折しない!10の壁を越えてプログラマーになろう 石上晋ほか著(技術評論社) 以下本書という」である。
Pythonでチャレンジするプログラミング入門 ――もう挫折しない!10の壁を越えてプログラマーになろう
本書の特徴は以下の通りである。
プログラミング言語Pythonを使ってプログラミングに挑戦する本です。プログラミング初心者向けの勉強会の運営にかかわっている著者ふたりが,そこで学んだ初心者がつまずくポイントを「10の壁」として定義し,各章でそれを乗り越える構成にしています。初心者に加え,一度プログラミングに挫折した「再」入門者も対象に,やさしく解説しています。
<10の壁>
技術評論社の紹介ページ
学習継続力の壁/PCスキルの壁/環境構築の壁/変数の壁/組み立て方の壁/練習から実用の壁/読みやすいコードの壁/アイデア実現の壁/完成の壁/プログラマーらしさの壁
なお、おすすめしたい読者は以下のような方である。
技術評論社の紹介ページ
- これからプログラミングに挑戦する人
- プログラミングにチャレンジしたが挫折した人
総ページ数は、288ページで、研修のテキストのように、サイズは縦23 x 幅18.2 cmと大型本である。
実際に本書を広げてパソコンを操作するならちょっと広めのスペースを用意する必要があるだろう。ただし、サイズが大きい分扱いやすい。
一般的なプログラミングの書籍に多いA5サイズ(縦21×幅15 cm)はコンパクトで持ち運べるサイズである一方、参照しながらプログラミングするには、広げたままにしていくのが難しく、重しを用意するなど工夫がいるのとは対照的である。
初学者向けのテキストの役割は、プログラミング言語についての必要最低限の情報提供はもちろんだが、一番大切なことは、「挫折の防止」ということではないだろうか。その言語に興味を持ってテキストを手に取ったわけであるので、なんとかその言語をマスターしたいという意気込みはあるだろう。ところが、何らかの理由で学習をあきらめてしまうのである。
そこで、本書では、第1章で、「学習継続力の壁」すなわち、「学習が苦しい気持ちになり、学び続けられない」を乗り越えるためのヒントを掲載している。これらを最初に聞いておけば、初学者は安心して始められるだろう。
第1章 <学習継続力の壁>学習が苦しくならないために
技術評論社の紹介ページ
- 1.1 初学者が抱きがちな4つの「間違った考え方」とは
- 1.2 本に書かれていることを全部暗記しなくて良い理由
- 1.3 「間違ってはいけない」と思わなくて良い理由
- 1.4 他人と学習スピードを比べなくて良い理由
- 1.5 高過ぎる目標を設定しなくて良い理由
- 1.6 プログラミング学習は「学校の勉強」とは違う
- 1.7 プログラミングという登山の第一歩を踏み出そう!
本書では、このようにつまずきやすいポイントを壁として表現して、「10の壁」として定義している。そして、これらの壁を乗り越えるにはどうすればよいのかについて解説している。
なお、本書では、Pythonを使って学習していくが、Pythonの機能を網羅的には説明していない。あくまでもPythonのプログラムを書きながら前述の「10の壁」を乗り越えることを目標にしている。
本稿がこれからPythonでプログラミング言語の学習を始める初学者の方の参考となれば幸いである。
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