本稿は、「知的財産管理技能検定(知財検定という)」の3級の出題範囲の頻出論点をまとめたものである。
商標権の発生と存続期間
商標権は、設定の登録により発生する。(商標法18条1項)
ただし、商標登録出願について、登録査定を受けた後、謄本送達日から30日以内に10年分もしくは5年分の登録料を納付し、設定登録がされることが必要となる。
(商標法40条1項、41条1項、41条の2第1項)
設定登録後は、商標権者の氏名や、願書に記載した商標、指定商品又は指定役務などが記載された「商標公報」が発行される。(商標法18条3項)
商標権の存続期間は、設定の登録の日から10年をもつて終了する。(商標法19条)
更新登録の申請は、商標権の存続期間の満了前6月から満了の日までの間にしなければならない。(商標法20条2項)
ただし、商標権者は、この期間内に更新登録の申請をすることができないときは、その期間が経過した後であっても、経済産業省令で定める期間内にその申請をすることができる。(商標法20条3項)
この場合、納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。(商標法43条1項)
商標権の活用
商標権者の意思に基づくもの
専用使用権
商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができる(商標法30条)
ただし、専用実施権は、特許庁に登録しなければ、効力を生じない。
通常使用権
商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。(商標法31条)
商標権者は、重複する範囲について、複数人に通常使用権を許諾することができる。
なお、商標権が共有に係る場合、他人に通常使用権や専用使用権を許諾・設定するには、他の共有者の同意が必要になる。
商標権者と契約せずに登録商標が使用できる場合
(先使用による商標の使用をする権利)他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた結果、その商標登録出願の際において準用する意匠法の規定により、その商標登録出願が手続補正書を提出した時にしたものとみなされたときは、もとの商標登録出願の際又は手続補正書を提出した際)現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする(商標法32条1項)
商標権の譲渡
商標権は財産権であるので、他人に譲渡することができる。指定商品または、指定役務ごとの移転も可能である。
ただし、商標権が共有に係る場合、他の共有者の同意がなければ自己の持分でも譲渡できない。
商標権の管理
不使用取消審判
継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。(商標法50条1項)
普通名称化
商標が普通名称にならないように管理しなければならない。
商標が普通名称になると、商標権の効力が及ばなくなる。(商標法26条1項)
未登録の商標であれば、出願しても識別力を有しないとして登録を受けられなくなる。(商標法3条1項各号)
(参考)
- 23~’24年版 知的財産管理技能検定®3級 テキスト&過去問題集 宇田川貴央 (著) 秀和システム
- 知的財産管理技能検定3級公式テキスト[改訂14版] 知的財産教育協会 (編集) アップロード
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