本稿は、「知的財産管理技能検定(知財検定という)」の3級の出題範囲の頻出論点をまとめたものである。
特許協力条約(PCT)とは
特許協力条約(PCT)は、発明の保護を目的として、一つの特許出願を多数国への特許出願として扱う「国際出願」という制度を定めた条約である。
ただ、世界中で通用する一つの「特許権」を認めるわけではなく、結局は、出願の際に指定した国ごとの審査を経なければ、特許権は付与されない。
特許協力条約(PCT)の利点は、保護を希望する複数の国への特許出願手続が簡素になることである。
PCT出願の流れ
国際出願
出願人は、自国の特許庁またはWIPO国際事務局に国際出願する。
所定の要件を満たすと、「国際出願日」が認められ、各国でこの日が正規の出願日として扱われる。
国際調査
すべてのPCT出願は、国際調査機関により、自動的に国際調査が行われる。この調査は、PCT出願された内容に関連のある先行技術の発見を目的としている。
なお、調査結果は、国際調査報告として、出願人およびWIPO国際事務局に送付される。この際、国際調査見解書も併せて示される。
国際公開
PCT出願の内容は、原則として、優先日から18ヶ月経過後に、WIPO国際事務局により公開される。
優先日とは、パリ条約の優先権制度を利用して優先権を主張する際にその基礎となる出願日をいう。
国際予備審査
出願人は、国際予備審査機関に対し、PCT出願した内容が、新規性、進歩性、産業利用可能性を有するかどうかについて、国際予備審査を請求できる。
国内移行手続
国際出願すると、原則として、すべてのPCT締結国に出願したものとみなされる。
しかし、実際に権利化を図りたい国に対しては、優先日から30か月以内に翻訳文を提出するなど、国内移行手続を取ることが必要である。
(参考)
- 23~’24年版 知的財産管理技能検定®3級 テキスト&過去問題集 宇田川貴央 (著) 秀和システム
- 知的財産管理技能検定3級公式テキスト[改訂14版] 知的財産教育協会 (編集) アップロード
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