知財検定まとめノート35「独占禁止法」

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紅葉 知財検定

本稿は、「知的財産管理技能検定(知財検定という)」の3級の出題範囲の頻出論点をまとめたものである。

なお、本稿では、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」を「独占禁止法」と称する。

独占禁止法とは

私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正かつ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。(独占禁止法1条)

禁止される行為

私的独占

私的独占は,独占禁止法第3条前段で禁止されている行為です。私的独占には,「排除型私的独占」と「支配型私的独占」とがあります。前者は、事業者が単独又は他の事業者と共同して、不当な低価格販売などの手段を用いて、競争相手を市場から排除したり、新規参入者を妨害して市場を独占しようとする行為です。後者は、事業者が単独又は他の事業者と共同して、株式取得などにより、他の事業者の事業活動に制約を与えて、市場を支配しようとする行為です。(公正取引委員会のWebサイト

第3条 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。

独占禁止法・e-GOV法令検索

不当な取引制限

不当な取引制限は,独占禁止法第3条で禁止されている行為です。不当な取引制限に該当する行為には、「カルテル」と「入札談合」があります。「カルテル」は、,事業者又は業界団体の構成事業者が相互に連絡を取り合い、本来,各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量などを共同で取り決める行為です。「入札談合」は,国や地方公共団体などの公共工事や物品の公共調達に関する入札に際し、事前に、受注事業者や受注金額などを決めてしまう行為です。(公正取引委員会のWebサイト

不公正な取引方法

不公正な取引方法は,独占禁止法第19条で禁止されている行為です。不公正な取引方法は、「自由な競争が制限されるおそれがあること」、「競争手段が公正とはいえないこと」、「自由な競争の基盤を侵害するおそれがあること」といった観点から,公正な競争を阻害するおそれがある場合に禁止されます。(公正取引委員会のWebサイト

第19条 事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。

独占禁止法・e-GOV法令検索

知的財産法と独占禁止法の関係

不正競争防止法と独占禁止法の関係

両法とも市場において適正な活動を確保しようとする点において、似ていると言える。そして、同じよう目的を達成するために互いに補完しあっていると言える。

特許等ライセンスと独占禁止法の関係

独占禁止法の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。(独占禁止法21条)

ただし、特許権の行使と認められない行為は、独占禁止法により制限される。

ライセンスする側が、特許発明の実施により製造された製品の販売価格を制限することは、独占禁止法により禁止される可能性が高い。

他方、同様の契約において、ライセンスの期間地域を限定することなどは、特許権の行使に当たり、独占禁止法による制限は受けない。

パテントプールと独占禁止法

パテントプールとは、ある技術に権利を有する複数の者が、それぞれの所有する特許等又は特許等のライセンスをする権限を一定の企業体や組織体(その組織の形態には様々なものがあり、また、その組織を新たに設立する場合や既存の組織が利用される場合があり得る。)に集中し、当該企業体や組織体を通じてパテントプールの構成員等が必要なライセンスを受けるものをいう(公正取引委員会のWebサイト

パテントプールは、効率的なスキームと言えるが、市場の自由な競争を阻害したり、市場支配につながったりすると、独占禁止法上の問題となる場合がある。

独占禁止法の運用

公正取引委員会は、独占禁止法を運用するために設置された機関で、独占禁止法の補完法である下請法の運用も行っている。

独占禁止法に違反した場合

  1. 公正取引委員会では,違反行為をした者に対して,その違反行為を除くために必要な措置を命じます。これを「排除措置命令」と呼んでいます。
  2. 私的独占カルテル及び一定の不公正な取引方法については、違反事業者に対して、課徴金が課されます。
  3. カルテル、私的独占、不公正な取引方法を行った企業に対して,被害者は損害賠償の請求ができます。この場合,企業は故意・過失の有無を問わず責任を免れることができません(無過失損害賠償責任)。
  4. カルテル、私的独占などを行った企業や業界団体の役員に対しては、罰則が定められています。
公正取引委員会のWebサイト

(注)アンダーラインなどは筆者による

(参考)
23~’24年版 知的財産管理技能検定®3級 テキスト&過去問題集  宇田川貴央 (著) 秀和システム
知的財産管理技能検定3級公式テキスト[改訂14版]  知的財産教育協会 (編集) アップロード

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