民法の学習を一通り終え、資格試験の対策や大学の演習を行っている皆さまへ。
「知識がバラバラで、全体像がぼやけている・・・」とか「最新の法改正が自分の知識から漏れてないのか不安・・・」などの悩みを感じたことはないだろうか?
今回ご紹介するのは、(故)潮見佳男先生による『民法(全)〔第3版補訂版〕以下本書という』である。
「1冊で民法全範囲を網羅する」という野心的な本書は、中上級者にこそ真価を発揮する書籍である。

基本情報
- 著者:潮見 佳男
補訂:長野 史寬・下村 信江・冷水 登紀代 - 出版社:有斐閣
- 版型:A5判・761ページ
- 価格:5,060円(税込)
本書の特徴
本書の最大の特徴は、民法全範囲(総則・物権・債権・親族・相続)が1冊に収まっていることである。
「1冊だと内容が薄いのでは?」と思うかもしれないが、そこは潮見先生。無駄を極限まで削ぎ落としたシャープな記述により、必要なエッセンスが濃密に詰め込まれている。
2024年9月までの法令・判例を反映
残念ながら、潮見先生は、2022年にご逝去されている。しかし本書では、先生の意思を継がれた補訂者の先生方によって、親権に関連する「懲戒権の削除」など、最新の重要な法改正がしっかり反映されている。民法を一通り学び終えた方にとって、自身の知識がアップデートされているかを確認する「ベンチマーク」として最適だろう。
条文と制度趣旨の徹底した重視
「なぜこの条文があるのか」という制度趣旨が明快に記されている。判例の引用も適切で、バラバラになった知識を、もう一度「制度の根幹」からつなぎ合わせるのに役立つだろう。
一通り学び終えた人への「おすすめ活用法」
本書は、一から民法を覚えるための教科書というより、「散らばった知識を整理するツール」として使うのが最も効果的である。
論文演習の「振り返り」に使う
答案練習をしていて「あれ、この要件の解釈ってどうだったかな?」と迷った時、分厚い基本書を何冊も開くのは大変である。本書なら、机の脇に置いておけば、総則から相続まですぐに確認できる。
資格試験前の「知識の総点検」に
資格試験では、細かい条文の知識が問われる場合がある。試験直前期に本書を通読することで、知識のムラをなくし、民法全体の体系を頭の中に再構築することができる。
「潮見節」で論理の流れを掴む
潮見先生の記述は非常に論理的である。一通り学習した後に読むと、「あ、だからこの制度はこういう構成になっているのか!」と、新しい発見があるはず。
気になるポイント:初学者には向かない?
正直に申し上げると、初学者がこの本1冊で民法をマスターするのはハードルが高いだろう。
- 記述が簡潔:ある程度の前提知識がないと、行間の意図を読み取れない部分がある。
- 情報密度が高い:1ページあたりの情報量が多いため、基礎ができていないと挫折しやすい。
しかし、「一通り学習を終えた人」にとっては、この簡潔さが最大の武器になる。
まとめ:あなたの机に「民法の羅針盤」を
本書は、民法という巨大な山脈を制覇するための「羅針盤」のような書籍である。
- 法改正のチェックをしたい
- 資格試験・論文対策で知識を整理したい
- 手元に信頼できる「民法の総まとめ」を置いておきたい
そんな方に、おすすめできる1冊である。
本書を使いこなせるようになった時、あなたの民法の理解は一段上のステージに上がっているはずだろう。
なお、初めて民法を学ぶ方には、「民法入門・総則 — エッセンシャル民法1 第5版補訂版 有斐閣」をおすすめしたい。



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