本ブログでは、多くの資格試験で出題されることが多い民法を取り上げている。様々なアプローチがあるが、民法の基本書を読み込むことは基本のひとつであろう。
そこで、比較的手に入り易い民法の基本書の中からテーマを決めて選書したいと思う。
今回のテーマは、「初学者向けのわかりやすい入門書」である。
そして、今回ご紹介するのは、「民法1 総則 ・有斐閣ストゥディア 山本敬三監修(有斐閣)以下本書という」である。
民法1 総則 ・有斐閣ストゥディア
民法は、言うまでもなく法律である。例えば、民法|e-Gov法令検索を開くと施行日の民法の条文をすぐに参照できる。
ただし、初学者にとって、「案内書」を持たずに民法の世界に踏み込むのは、「地図」をもたずに山に分け入るようなものである。もちろん、山は誰でも入れるが、「地図」という指針があれば安全に行動できる。筆者は、法律書の存在をこのように考えている。そして、現在の学術的な到達点を知ることもできる。資格試験では、理屈抜きで結論を覚えるほうが早いというアドバイスがある。ある意味合理的だが、民法については、ある程度掘り下げて理解しておいたほうが良い。実務でも頻繁にその知識が必要になるので、民法の「基礎」はしっかりとしておいたほうが後々のためでもある。
本書の著者は、監修に山本敬三先生、ほかに香川崇先生、竹中悟人先生、山城一真先生の共著となっている。
民法の海を渡りきる確かな海図,待望の総則編。学び始めに躓かないよう用語の正確な理解へと導き,豊富な事例と図表で具体的なイメージをもって学べるよう工夫。担保物権等の,総則を学ぶうえで必要な前提知識も丁寧にフォローし,通読できるものに仕上げた。
有斐閣の本書の紹介ページ
まず注目すべきは、読み易さについての配慮であろう。文字の大きさはちょうど良い。行間も適切で、1ページに情報を無理矢理詰め込んだという感じがしない。文体も、法律書にありがちな硬さがなく、とてもフレンドリーである。また、読み方も含めて理解すべき用語には「かな」が振ってある。
図表を多用していることも評価できる。文字ばかりの説明より図表を使うことで理解が早まることが期待できる。
そして、「CASE」を使って具体的に説明されているので、記憶に残りやすいと思われる。
各章末には、「POINT」が配され、これまで学んだことが復習できるようになっている。
「総則」には、民法の他の分野でも必要な前提知識がたくさん含まれている。「民法」の旅は、「総則」で始まったばかりである。本書によって「総則」をしっかり理解していくことで、民法全体の理解につながっていく。
本書は、これから民法の基礎を始める方にはおすすめの良書である。本稿をきっかけにして一度お手に取っていただければ幸いである。
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