本稿は、「ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP検定)」の1~3級(学科試験)で出題される頻出論点をまとめたものである。
今回のテーマは、「D 不動産」から「建築基準法(容積率)」である。
容積率
容積率とは
容積率とは、敷地面積に対する建築物の延べ面積(=延べ床面積)の割合をいう。
容積率(%)$=\dfrac{建築物の延べ面積}{敷地面積}× 100$
前面道路の幅員による容積率の制限
敷地が接する前面道路(2以上の道路に面するときは幅員が最も大きいもの)の幅員が12m未満である場合には、用途地域ごとに定められている容積率(指定容積率)と、以下の計算で求められる数値の少ない方(制限の厳しい方)の容積率を用いる。
前面道路の幅員が12m以上ある場合、指定容積率を用いる。
住居系用途地域
前面道路の幅員×10分の4
住居系用途地域以外
前面道路の幅員×10分の6
敷地が容積率の異なる地域にわたる場合
建物の敷地が容積率の異なる地域にわたっている場合は、加重平均(按分計算)して求める。
容積率の面積不算入
すべて不算入
・共同住宅の共用廊下・階段部分
・エレベーターの昇降路部分
最大で延べ床面積の3分の1まで不算入
・住宅の地階
最大で延べ床面積の5分の1まで不算入
・自動車車庫
出題例
3級
(54) 幅員6mの市道に12m接する200㎡の敷地に、建築面積が120㎡、延べ面積が180㎡の
2階建ての住宅を建築する場合、この住宅の容積率は、( )となる。
1) 60%
2) 66%
3) 90%
2020年9月試験 学科 3級【第2問】
正解:3
容積率(%)$=\dfrac{建築物の延べ面積}{敷地面積}× 100$ である。
$\dfrac{180㎡}{200㎡}× 100=90$%
2級
問題 46
都市計画区域および準都市計画区域内における建築基準法の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.敷地の前面道路の幅員が12m未満である建築物の容積率は、原則として、「都市計画で定められた容積率」と「前面道路の幅員に一定の数値を乗じて得たもの」とのいずれか低い方が上限となる。
2.防火地域内に耐火建築物を建築することにより、建蔽率の制限については緩和措置の適用を受けることができるが、容積率の制限については緩和措置の適用を受けることができない。
3.建築物の高さに係る隣地斜線制限は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域および田園住居地域には適用されない。
4.日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)は、原則として、工業地域および工業専用地域を除く用途地域における建築物に適用される。
2級 学科試験(2022年1月23日実施)
正解:4
1 正しい。
敷地の前面道路の幅員が12m未満である建築物の容積率は、原則として、「都市計画で定められた容積率」と「前面道路の幅員に一定の数値を乗じて得たもの」とのいずれか低い方が上限となる。
4 誤り。
日影規制は、商業地域、工業地域、工業専用地域には適用されない。
1級
《問36》 建築基準法の容積率に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 準住居地域において、前面道路の幅員が12m未満である建築物の容積率は、都市計画で定められた数値と当該前面道路の幅員に10分の6(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内は10分の8)を乗じた数値のいずれか少ない数値以下でなければならない。
2) 第一種住居地域において、建築物の敷地が、幅員15m以上の道路に接続する幅員6m以上12m未満の前面道路のうち、当該特定道路からの延長が70m以内の部分において接する場合、都市計画で定められた指定容積率に当該前面道路の幅員に10分の4(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内は10分の6)を乗じた数値を加算したものが容積率の最高限度となる。
3) 共同住宅の共用の廊下や階段の用に供する部分の床面積は、原則として、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入する。
4) 建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものの住宅の用途に供する部分の床面積は、原則として、当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の3分の1を限度として、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入されない。
1級 学科試験<基礎編>(2021年9月12日実施)
正解:4
1 誤り。
準住居地域において、前面道路の幅員に乗じる法定乗数は10分の4(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内は10分の6)である。
2 誤り。
前面道路が特定道路に接続する場合の緩和は、次の①・②のうち小さい方が限度となる。
①都市計画で定められた指定容積率
②(道路の幅員+$W_{1}$)× 法定乗数
※$W_{1}=\dfrac{(12mー前面道路の幅員)×(70mー特定道路までの距離)}{70m}$
3 誤り。
共同住宅の共用の廊下や階段の用に供する部分の床面積は、原則として、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入されない。
4 正しい。
建築物の地階の床面積は、原則として、建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の3分の1を限度として、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入されない。
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