原則として、所得があった年の翌年2月16日から3月15日までは所得税の確定申告の時期である。
今回は、「青色申告制度(個人事業主)」を取り上げる。
一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度がある。
青色申告をすることができる所得
青色申告をすることができるのは、不動産所得、事業所得、山林所得のある人です。
青色申告者の帳簿書類とその保存
青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規の簿記によることが原則であるが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでもよいことになっている。
これらの帳簿および書類などは、原則として7年間保存することとされていますが、書類によっては5年間でよいものもある。
5年間の保存でよい書類には、例えば、請求書、見積書、納品書、送り状などがある。
青色申告の特典
青色申告特別控除の概要
青色申告者に対しては種々の特典があるが、その1つに所得金額から55万円(一定の要件を満たす場合は65万円)または10万円を控除するという青色申告特別控除がある。
55万円の青色申告特別控除
- 不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
- これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
- (2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出すること。
65万円の青色申告特別控除
- 上記「55万円の青色申告特別控除」の要件に該当していること。
- 次のいずれかに該当していること。
- その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること。
- その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表および損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと
10万円の青色申告特別控除
この控除は、上記「55万円の青色申告特別控除」および「65万円の青色申告特別控除」の要件に該当しない青色申告者が受けられる。
青色事業専従者給与
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができる。
なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける方は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれない。
純損失の繰越しと繰戻し
イ 純損失の繰越し
事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除する。
なお、令和5年(2023年)4月1日以降に特定非常災害の指定を受けた災害より生じた純損失の金額につき、以下の場合には、次の損失額について繰越控除期間が3年間から5年間へと延長される。
(イ)保有する事業用資産のうち、特定非常災害に指定された災害により生じた損失(特定被災事業用資産損失)の割合が10パーセント以上である場合、青色申告者についてはその年に発生した損失額の総額
(ロ)特定被災事業用資産の損失の割合が10パーセント未満の場合には、特定被災事業用資産の損失による純損失の金額
(注)特定非常災害とは、(特定非常災害の被災者の権利利益の保全等をはかるための特別措置に関する法律)第二条第一項の規定により特定非常災害として指定された非常災害をいう。
ロ 純損失の繰戻し
前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできる。
手続き
申告等の方法
下記の期限までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する。
区分 | 青色申告承認申請書の提出期限 |
原則 | 青色申告の承認を受けようとする年の3月15日 |
新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合) | 業務を開始した日から2か月以内 |
被相続人が白色申告者の場合(その年の1月16日以後に業務を承継した場合) | 業務を承継した日から2か月以内 |
被相続人が青色申告者の場合(死亡の日がその年の1月1日から8月31日) | 死亡の日から4か月以内 |
被相続人が青色申告者の場合(死亡の日がその年の9月1日から10月31日) | その年12月31日 |
被相続人が青色申告者の場合(死亡の日がその年の11月1日から12月31日) | 翌年2月15日 |
(参考)No.2070 青色申告制度(国税庁Webサイト)
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