本稿は、「ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP検定)」の1、2級(学科試験)で出題される頻出論点をまとめたものである。
今回のテーマは、「D タックスプランニング」から「「法人税の仕組み」である。
法人税の事業年度と納税地
事業年度・・原則としてその法人が定款に定める会計期間(1年以内)
納税地・・原則として、法人の本店または主たる事業所の所在地
法人税の計算
課税所得金額 = 「益金 ー 損金」
法人税法上の所得と企業会計上の利益
(法人税法上)
課税所得金額 = 益金 ー 損金
(企業会計上)
企業上の利益額 = 収益 ー 費用
※ 益金と収益、損金と費用は一致していないので、調整が必要
当期利益 | |
加算 | 損金不算入(費用に計上しているが、損金に計上しないもの) |
益金算入(収益に計上していないが、益金に計上するもの) | |
減算 | 益金不算入(収益に計上しているが、益金に計上しないもの) |
損金算入(費用に計上していないが、損金に計上するもの) | |
所得金額 |
税率
資本金1億円超の法人 | 23.2% | |
中小法人(資本金1億円以下) | 年800万円以下の部分 | 15% |
年800万円を超える部分 | 23.2% |
申告と納付
確定申告
原則として、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、確定した決算に基づいて作成した確定申告書を提出しなければならない。
納付期限は、確定申告書の提出期限まで。
なお、2020年4月1日以降に開始する事業年度から、事業年度開始の時における資本金の額が1億円を超える法人は、原則として、電子申告(e-Tax)により行われなければならない。
青色申告
法人が青色申告書を提出した場合は、税務上各種の特典が受けられる。
「青色申告承認申請書」を事業年度開始の日の前日までに提出しなければならない。
ただし、法人を設立した年度は、原則として設立日以後3か月を経過した日と第1期目の事業年度終了の日のうち、早い方の前日までに提出しなければならない。
出題例
2級
問題 36
法人税の仕組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.法人税の納税地は、原則として、その法人の代表者の住所または居所の所在地である。
2.法人は、法人税の納税地に異動があった場合、原則として、異動前の納税地の所轄税務署長にその旨を届け出なければならない。
3.法人税の確定申告書は、原則として、各事業年度終了の日の翌日から1ヵ月以内に、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
4.期末資本金の額等が1億円以下の一定の中小法人に対する法人税の税率は、所得金額のうち1,000万円以下の部分について軽減税率が適用される。
2級 学科試験(2023年5月28日実施)
正解:2
1 誤り。
法人税の納税地は、原則として、本店または主な事務所の所在地である。
2 正しい。
法人は、法人税の納税地に異動があった場合、原則として、異動前の納税地の所轄税務署長にその
旨を届け出なければならない。
(参考)[手続名]異動事項に関する届出(国税庁ホームページ)
3 誤り。
法人税の確定申告書は、原則として、各事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内に、納税地の所轄税務署長に提出し,納税しなければならない。
4 誤り。
期末資本金の額等が1億円以下の一定の中小法人に対する法人税の税率は、所得金額のうち800万円以下の部分について軽減税率が適用される。
1級
《問30》 法人税の申告および納付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、法人はいずれも内国法人(普通法人)であるものとする。
1) 2020年4月1日以後に開始する事業年度から事業年度開始の時における資本金の額が1億円以下の法人は、原則として、法人税の申告を電子情報処理組織(e-Tax)により行わなければならない。
2) 中間申告書を提出すべき法人がその申告書を期限までに提出しなかった場合には、前年度実績による中間申告(予定申告)があったものとみなされる。
3) 法人は、原則として、各事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に、納税地の所轄税務署長に対し、当該事業年度の貸借対照表、損益計算書その他の財務省令で定める書類を添付した確定申告書を提出しなければならない。
4) 過去に行った確定申告について、計算に誤りがあったことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であることや、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額が過少であることが判明した場合、原則として、法定申告期限から5年以内に限り、更正の請求をすることができる。
1級 学科試験<基礎編>(2022年5月22日実施)
正解:1
1 誤り。
2020年4月1日以降に開始する事業年度から、事業年度開始の時における資本金の額が1億円を超える法人は、原則として、電子申告(e-Tax)により行われなければならない。
2 正しい。
中間申告書を提出すべき法人がその申告書を期限までに提出しなかった場合には、前年度実績による中間申告(予定申告)があったものとみなされる。(法人税法73条)
3 正しい。
法人は、原則として、各事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に、納税地の所轄税務署長に対し、当該事業年度の貸借対照表、損益計算書その他の財務省令で定める書類を添付した確定申告書を提出しなければならない。(法人税法74条)
4 正しい。
過去に行った確定申告について、計算に誤りがあったことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であることや、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額が過少であることが判明した場合、原則として、法定申告期限から5年以内に限り、更正の請求をすることができる。
(国税通則法23条)
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