マンション管理士まとめノート(3)「民法(賃貸借契約)」

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マンション マンション管理士

本稿は、「マンション管理士試験」の出題範囲のうち、民法の頻出論点をまとめたものである。

賃貸借

賃貸借契約とは

賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したとき返還することを約することによって、その効力を生ずる。(601条)

賃貸借の対象となるのは「物」としての有体物(動産・不動産)である。

賃貸借契約は、その目的となっている物を使用・収益させる債務と、賃料支払債務が互いに対価的な意義を持つ双務有償諾成契約である。また、不要式契約である。

また、賃借人の保護を図るために、「借地借家法」という特別法が制定されている。

賃貸借の存続期間

賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。(604条1項前段)

  • 契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする。
  • 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から50年を超えることができない。

そこで、賃借人の保護を図るために、「借地借家法」では様々な規定を設けている。

不動産賃借権の対抗力

不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。(605条)

賃貸人・賃借人の権利と義務

賃貸人の権利義務

使用収益させる義務(601条)

賃貸人は、賃借人に目的物を引き渡して、賃貸借契約が存続する間、使用収益に適した状態に置く義務を負う。

修繕義務(606条)

賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。(606条1項本文)

もっとも、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、修繕義務を負わない。(606条1項ただし書)

なお、賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。(606条2項)

費用償還義務

必要費、有益費を償還する義務を負う。

必要費(使用収益できる状態に目的物を維持・保管するための費用)

賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。(608条1項)

有益費(目的物の改良のために支出された費用)

賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第2項の規定に従い、その償還をしなければならない。(608条2項本文)

(占有者による費用の償還請求)
第196条 (略)

 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

民法・e-GOV法令検索

ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。(同2項ただし書)

賃借人の権利義務

善管注意義務

賃借人は、賃借物を返還するまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。(400条)

賃料支払義務

601条。賃借人の中心的義務である。

賃借権の譲渡・転貸(612条・613条)

賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。(612条1項)

そして、賃借人がこの規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。(同2項)

なお、この解除権が発生するには、現実に第三者に賃借物の使用又は収益をされたことが必要である。

無断譲渡・無断転貸があっても、当該行為が賃貸人に対する背信的行為認めるに足らない特段の事情がある場合は解除できない。(判例)

賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。(613条1項)

なお、この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。(同ただし書)

有効な転貸借の場合、賃貸人は賃借人のみならず、転借人に対しても賃借料と転借料の範囲(少ない方の額)で賃料を請求できる。

敷金

敷金とは、いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。(622条の2柱書かっこ書)

敷金の返還

次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。(622条の2第1項)

  • 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。→敷金返還と目的物の明渡しは同時履行にはならない。
  • 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。

賃貸人・賃借人の変更と敷金

人の変更→敷金返還義務は、旧賃貸人に対する未払賃料等を控除した残額について、賃借人の同意がなくても、当然に、新賃貸人に承継される。(判例)

人の変更→賃貸人の承諾を得て、賃貸借が譲渡された場合、敷金に関する権利義務は、特段の事情がない限り、新貸借人には承継されない。(判例)

借地借家法

借地権

借地権とは、建物所有を目的とする土地の地上権または賃借権のことをいう。
借地権は、普通借地権と定期借地権に大別される。試験で押さえるべきは、普通借地権である。

普通借地権は、存続期間は30年以上となっている。
期間の定めのない場合や30年より短い期間を定めた場合、存続期間は30年である。
地主と借地人が合意すれば、30年を超える期間を定めることも可能である。

借地契約の更新

法定更新

当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、20年)とする。(借地借家法4条)

なお、借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。(借地借家法5条)

  • 借地権設定者(地主)が遅滞なく異議を述べたときは契約の更新はされない。
  • 借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、借地契約は更新されたものとみなされる。

そして、借地権設定者等が異議を述べる場合は、正当の事由があると認められる場合でなければならない。(借地借家法6条)

合意更新

当事者が法定期間より長い期間を定めたときは、その期間とする。(借地借家法4条)

借地権者の建物買取請求権

借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。(借地借家法13条)

なお、借地権者の債務不履行による解除によって土地の賃貸借契約が終了した場合は建物買取請求権は認められない

借家権

借地借家法の適用を受ける建物(用途に制限なし)の賃貸借のことを借家権という。ただし、一時使用目的の賃貸借には、借地借家法は適用されない。

存続期間は1年以上で、上限はない。なお、1年未満の期間を定めた場合、期間の定めのない契約とみなされる。(借地借家法29条)

借地契約の更新

存続期間の定めがある場合

建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6か月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。(借地借家法26条1項)

なお、更新後は、存続期間の定めのない借家契約となる。

通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同様の更新をしたものとみなす。(同2項)

そして、賃貸人が更新を拒絶するためには、正当事由が必要である。(借地借家法28条)

存続期間の定めがない場合

建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日からか月を経過することによって終了する。(借地借家法27条1項)

この賃貸人による解約申し入れをする場合でも正当事由が必要である。(借地借家法28条)

造作買取請求権

建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。(借地借家法33条1項)

なお、この規定は、任意規定である。したがって、当事者間の特約で排除することが可能である。

また、建物の賃借人の債務不履行による解除によって賃貸借契約が終了した場合は造作買取請求権は認められない。(判例)

定期建物賃貸借

定期建物賃貸借契約とは

更新がなく一定期間で契約が終了する建物賃貸借契約である。
借家期間は1年未満でもよく、最長期間の制限もない。

定期建物賃貸借契約では、賃貸人は、契約締結に、賃借人に対して、「契約の更新がなく、期間満了で終了する」旨を記載した書面(または、電磁的方法)で説明しなければならない。この説明がないと、普通借家契約となる。(借地借家法38条)

賃借人からの中途解約

居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。

この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1ヶ月を経過することによって終了する。(借地借家法38条)

(参考)
らくらくわかる! マンション管理士 速習テキスト 2023年度(TAC出版)
C-Book 民法Ⅳ〈債権各論〉 改訂新版(東京リーガルマインド)

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