Ⅲ 胃腸に作用する薬(4)
④その他の消化器官用薬
1) 浣腸薬
- 浣腸薬は便秘の場合に排便を促すことを目的として直腸内に適用される
- 繰り返し使用すると直腸の感受性の低下 (いわゆる慣れ) が生じて効果が弱くなる
→連用しないこと - 便秘以外のときに直腸内容物の排除を目的として用いることは適当でない
- 浣腸薬は一般に、直腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれがある
→妊婦には使用を避ける
注入剤
【用法に関連した注意】
- 注入する薬液は人肌程度に温めておくと不快感が生じにくい
- 薬液を注入した後すぐに排便を試みると、 薬液のみが排出されて効果が十分得られない
→ 便意が強まるまでしばらく我慢する - 半量等を使用する用法がある場合、 残量を再利用すると感染のおそれがあるので 使用後は廃棄する
<配合成分>
グリセリン
- 浸透圧の差によって腸管壁から水分を取り込んで直腸粘膜を刺激し、排便を促す効果を期待して用いられる
- 排便時に血圧低下を生じて、立ちくらみの症状が現れるとの報告があり、そうした症状は体力の衰えている高齢者や心臓に基礎疾患がある人で特に現れやすいため、 高齢者又は心臓病の診断を受けた人では、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師等に相談がなされるべきである
※浸透圧・・・水分が浸透する際、この水分の移動に伴う圧力を浸透圧という
坐剤
【用法に関連した注意】
硬すぎる場合は、柔らかくなった後に使用
→無理に挿入すると直腸粘膜を傷つけるおそれがある
<配合成分>
炭酸水素ナトリウム・・直腸内で徐々に分解して炭酸ガスの微細な気泡を発生することで直腸を刺激する作用を期待
グリセリンと炭酸水素ナトリウムを入れ替えて出題されるので、作用をイメージできるようにしておこう。
2) 駆虫薬
- 駆虫薬は、腸管内の寄生虫に対して、 これを駆除するために用いられる
- 一般用医薬品の駆虫薬が対象とする寄生虫→回虫と蟯虫
- 駆虫薬は腸管内に生息する虫体にのみ作用する
→虫卵や腸管内以外に潜伏した幼虫には駆虫作用が及ばない - 複数の駆虫薬を併用しても駆虫効果が高まることはない
→副作用が現れやすくなり、 組合せによってはかえって 駆虫効果が減弱することもある
代表的な駆虫成分、 主な副作用
駆虫成分 | 回虫 | 燒虫 | 特徵 | |
---|---|---|---|---|
サントニン | 〇 | 主に肝臓で代謝される →肝臓病の診断を受けた人では 肝機能障害を悪化させるおそれあり | 虫体を糞便とともに排出させる | |
カイニン酸 | 〇 | カイニン酸を含む生薬成分としとともに て、 マクリがある | ||
ピペラジン | 〇 | 〇 | アセチルコリン伝達を妨げて、 回虫及び燒虫の運動筋を麻痺させる作用を示す | |
パモ酸ピルビニウム | 〇 | 尿や糞便が赤くなることがある | 殺虫作用 |
(参考)
・登録販売者試験問題作成に関する手引き(令和7年4月)
・ズルい!合格法シリーズ ズルい!合格法 医薬品登録販売者試験対策 鷹の爪団直伝!参考書 Z超 株式会社医学アカデミーYTL(著)薬ゼミ情報教育センター
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