民法を学ぼう!「動産物権変動(4)動産物権譲渡の対抗要件(4)」

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司法・法務

(3)動産の性質による特則

一定の動産については、その性質上、 特別なルールが定められている。

①登記・登録を対抗要件とする動産

たとえば、 商法上登記を必要とする船舶の所有権の移転は、 その旨の登記を備え、船舶国籍証書へと記載しなければ、 第三者に対抗することができないものとされている(商687条)。また、登録を受けた自動車の所有権の得喪は、 その旨の登録を備えなければ、第三者に対抗することができない (道路運送車両法5条)。 一定の種類の動産についてであれば、 不動産登記のように、一つひとつの物を単位として登記・登録を編成すること(物的編成主義)ができる。
また、 一定の種類の動産については、その性質上、 一つひとつの物を単位として編成された登記 登録によって、 その動産に関する物権変動を公示することが望ましいものと考えられる。

(船舶所有権の移転の対抗要件)
第687条 船舶所有権の移転は、その登記をし、かつ、船舶国籍証書に記載しなければ、第三者に対抗することができない。
(商法・e-Gov法令検索)

第5条 登録を受けた自動車の所有権の得喪は、登録を受けなければ、第三者に対抗することができない。
(道路運送車両法・e-Gov法令検索)

②独自の対抗要件を備えることを要しない動産

不動産である建物(主物)および動産である畳・建具(従物)が譲渡された場合において、その譲受人がその建物 (主物)について所有権移転登記を備えたときは、その畳・建具 (従物)の引渡しを受けなくても、その畳・建具 (従物)の所有権を取得したことを第三者に対抗することができる。

③対抗要件主義が適用されない動産

金銭については、一般に、「占有のあるところに所有権もあり」というルールが適用される。このルール によれば、金銭所有権を譲渡するためには、動産の所在を現実に移さなければならない。 金銭について178条の規定が適用されるのは、封金や古銭のように、 物そのものに個性が認められるときに限られるものとされている。

参考)物権法[第3版] NBS (日評ベーシック・シリーズ) 日本評論社

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