民法を学ぼう!「立木の独立性と物権変動(4)」

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司法・法務

明認方法の意義については、次の2つの見解がある。
第1の見解によれば、 明認方法は、もっぱら立木の物権変動の対抗要件の役割を果たすものである。 すなわち、 土地に生立する立木が売却されたときは、 その立木は、明認方法が施される前に独立の物となり、売主から買主への立木所有権の移転の効力が生ずる。 明認方法は、この物権変動を第三者に対抗するための要件に位置づけられる。
これに対し、 第2の見解によれば、 明認方法は、 立木の物権変動の対抗要件にとどまらない。 立木は、原則として、 土地の一部を構成する。 明認方法は、 その例外として、立木を独立の物とするための要件である。 したがって、立木について明認方法が施されたときに初めて、その立木について物権変動が生ずることとなる。

3 明認方法の存続

不動産登記については、登記官の過誤によって登記が抹消されたとしても、 その対抗力は、失われないものとされている。この場合には、登記が抹消されたことについて、権利者に帰責性がないからである。これに対し、明認方法は、第三者が利害関係を取得した時に存続していなければ、その対抗力は、失われるものとされている

第1の見解からは、両者の扱いが異なることを批判するものが有力である。

そのなかには、明認方法についても、その消滅について権利者に帰責性がないときは、対抗力は、失われないものとみるべきであるという考え方と、反対に、不動産登記についても、第三者が利害関係を取得した時に存続していれば、その対抗力は、失われるものとみるべきであるという考え方とがある。
他方で、第2の見解は、両者の扱いが異なることを正当化することができるとしている。この立場によれば、 明認方法は、 物の独立化の要件である。そのため、立木について明認方法が消滅したときは、その立木は、再び土地の一 部を構成することとなるものとされる。

これに対し、 両者の扱いは、そもそも異ならないと捉える見解がある。 それによれば、明認方法は、その性質上、消滅の恐れが高い。そのため、明認方法が消滅したときは、その消滅について権利者に帰責性があるとされることが多い。 明認方法について、 一般論としてその存続が求められているのは、そのためであるとされる。

参考)物権法[第3版] NBS (日評ベーシック・シリーズ) 日本評論社

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