民法を学ぼう(未成年者保護制度)

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司法・法務

行為能力とは

行為能力とは、自らの行為によって法律行為の効果を確定的に自己に帰属させる能力。

行為能力制度とは

行為能力制度とは、大きく分けて、「未成年者保護制度」と「成年後見制度」に分かれる。

  • 一般的・恒常的に能力不十分とみられる者を「形式的基準」であらかじめ定めて
  • 一律的に法律行為を取り消すことができるものとした。
  • 行為能力を制限された者には保護者が付される

今回は、このうち、「未成年者保護制度」を取り上げる。

未成年者保護制度

未成年者の定義を確認しておこう。

未成年者とは、成年に満たない者である。成年とは、下記のとおり「年齢18歳」と定められている。

(成年)
第四条 年齢十八歳をもって、成年とする。

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法定代理人

(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

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未成年者に付される保護者は、「法定代理人」と規定されている。法定代理人になるのは、通常は「親権者」である。

(親権者)
第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

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なお、親権を行う者がないとき(父母がいずれも死亡した場合)、又は親権を行う者が子の財産を管理する権限がないとき(父母のいずれもが親権を行えない場合)は、家庭裁判所によって選任された後見人(未成年者後見人)が法定代理人となる。(遺言で親権者の指定のない場合

第八百三十八条 後見は、次に掲げる場合に開始する。
一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
(略)

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(未成年後見人の指定)
第八百三十九条 未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。
2 親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方は、前項の規定により未成年後見人の指定をすることができる。

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(未成年後見人の選任)
第八百四十条 前条の規定により未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも、同様とする。
(略)

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法定代理人の権限

法定代理人の権限は、同意権(5条1項)と代理権である。

法定代理人の同意なくして未成年者が法律行為を行った場合は、取り消すことができる。すなわち法定代理人は同意権を有しているのである。

また、代理権については、民法に以下の通り規定されている。親権者について、824条、後見人については、859条。

(財産の管理及び代表)
第八百二十四条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

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財産の管理及び代表)
第八百五十九条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。

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未成年者の行為能力

未成年者は、原則としてすべての行為について行為能力を制限されている。(5条)

例外

以下の行為は、未成年者も単独で行うことができる。

単に権利を得、又は義務を免れる行為

未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
(略)

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例としては、未成年者が何の負担もなしに財産の贈与を受ける契約を締結する場合である。

処分を許された財産の処分

(未成年者の法律行為)
第五条 
(略)
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

例としては、親が未成年者の子にお小遣いを渡し、これによって子が何かモノを購入する場合である。

許された営業に関する行為

(未成年者の営業の許可)
第六条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
(略)

法定代理人が許可を与えるに際しては種類を特定する必要がある。一方で、未成年者が有効な行為をすることができるのは、許された営業に「関連する」行為に広く及ぶとされている。

参考文献)民法総則「第2版」 原田 昌和 他著 (日本評論社)、司法書士 合格ゾーンテキスト 1 民法I  「第3版」根本正次著 (東京リーガルマインド)、C-Book 民法I〈総則〉 改訂新版(東京リーガルマインド)

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