内縁継続中の法律関係
婚姻に準じた扱いが認められる場合
婚姻の効果のうち、夫婦共同生活を前提として定められたものについては、 内縁にも認められる。
ただし、 これらの効果が現実に問題とされるのは、関係が破綻し内縁が解消された後であることが多い。
婚姻に準じた扱いが認められない場合
夫婦同氏および姻族関係の発生については、社会制度としての婚姻に結びついた効果であり、届出を欠く内縁関係には認められない。
内縁夫婦の子は、嫡出でない子として扱われる。 772条の類推適用により、内縁の成立の日から200日を経過した後または内縁の解消の日から300日以内に生まれた子は、母の内縁の夫の子と推定されるが、事実上の推定にとどまるので、法律上の父子関係を成立させるには父の認知が必要である(最判昭和29.1.21民集8巻1号87頁)。
(嫡出の推定)
第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
2 前項の場合において、婚姻の成立の日から二百日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
(民法)
内縁の妻が内縁関係成立の日から二百日後、解消の日から三百日以内に分娩した子は民法第七七二条の趣旨にしたがい内縁の夫の子と推定する。
(最判昭和29年1月21日民集 第8巻1号87頁)
また、 死後認知につき、出訴期間に関する制限(787条ただし書)を受ける (最判昭和44・11・27民集23巻11号2290頁 93頁参照)。
(認知の訴え)
第七百八十七条 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
(民法)
民法七七二条の類推適用により父性の推定を受ける子についても、認知の訴の提起にあたっては、出訴期間の制限に関する同法七八七条但書の適用がある。
(最判 昭和44年11月27日民集 第23巻11号2290頁)
(参考)家族法[第4版]NBS (日評ベーシック・シリーズ)日本評論社
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