民法を学ぼう!「離婚の効果(7)離婚に基づく慰謝料請求」

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司法・法務

不貞行為や暴力・虐待など夫婦の一方が不法行為をした場合、他方はその行為によって被った精神的被害の賠償(慰謝料も支払い)を求めることができる。(709・710条)

(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(財産以外の損害の賠償)
第710条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
(民法・e-Gov法令検索)

ただ、夫婦間で婚姻中に慰謝料請求がされるのは稀であり、離婚を契機として請求がされるのがほとんどである。
こうした行為があった結果、離婚に至ってしまうケースが多いが、こうしたケースでは、原因行為そのものにより生じた精神的損害に対する慰謝料とは別に、離婚のやむなきに至ったことにより生じた精神的損害に対する慰謝料請求が認められている。(最判昭和31・2・21民集10巻2号124頁)

なお、夫婦の一方は、不貞行為の相手方に対して、不貞行為の結果離婚のやむなきに至ったことにより生じた精神的損害に対する慰謝料請求は原則として認められない。
(最判平成31・2・19民集73巻2号187頁)

判例上、離婚そのものに基づく慰謝料請求が認められているが、これと財産分与の請求はどのような関係にたつのか。
慰謝料的な内容を財産分与の中に含ませることができるとする説(包括説)と慰謝料を財産分与の中に含ませることはできず、財産分与とは別個に請求すべきであるとする説(限定説)がある。

最高裁判決では、「離婚による慰謝料と財産分与との関係」について、

 すでに財産分与がなされた場合においても、それが損害賠償の要素を含めた趣旨とは解されないか、または、その額および方法において分与請求者の精神的苦痛を慰籍するに足りないと認められるものであるときは、右請求者は、別個に、相手方の不法行為を理由として離婚による慰籍料を請求することを妨げられない。
最判昭和46年7月23日民集 第25巻5号805頁

としている。

判例は、限定説を出発点としながら、包括説からの修正を加えており、折衷的な立場を採用するものと評価できる。

参考)家族法[第4版]NBS (日評ベーシック・シリーズ)日本評論社

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