民法を学ぼう!「親族法・総則(氏名)」

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司法・法務

氏名

氏名は、社会的にみれば、個人を他人から識別し特定する機能を有するものであるが、同時に、その個人からみれば、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成するものというべきであるから、人は、他人からその氏名を正確に呼称されることについて、不法行為法上の保護を受けうる人格的な利益を有するものというべきである。
(最判昭和63.2.16 民集 第42巻2号27頁)

氏の取得

(子の氏)
第790条 嫡出である子は、父母の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。
 嫡出でない子は、母の氏を称する。
(民法・e-Gov法令検索)

氏の変動

(夫婦の氏)
第750条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

(養子の氏)
第810条 養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。
(民法・e-Gov法令検索)

氏の変更

婚姻の解消に関連する氏の変更

(離婚による復氏等)
第767条 婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。

(生存配偶者の復氏等)
第751条 夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。
(略)
(民法・e-Gov法令検索)

家庭裁判所の許可を得てする子の氏の変更

(子の氏の変更)
第791条 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。
 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。
 前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。
(民法・e-Gov法令検索)

例えば、夫の氏を称している夫婦が離婚すれば、妻は婚姻前の氏に復するが、(767条1項)
この元夫婦に嫡出子がいる場合、子の氏を父の氏(出生時の氏)から母の氏に変更するには、家庭裁判所の許可が必要である。
また、父が嫡出子でない子を認知した場合、子の氏を父の氏に変更するには、家庭裁判所の許可が必要である。(791条1項)

なお、A男がB女との間に生まれた嫡出でない子Cを認知した後に、AとBが婚姻し、Aの氏を称したとする。
Cは、Bが自らを認知したAと婚姻したことにより、ABの嫡出子の身分を取得する。(789条1項)
しかし、Cの氏は、出生時に取得したBの氏のままである。他方、BはAの氏を称している。
そこで、届出によって、父母と同じAの氏に変更することができる。(791条2項)

参考)家族法[第4版]NBS (日評ベーシック・シリーズ)日本評論社 

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