痒み、腫れ、痛み等を抑える配合成分
ステロイド性抗炎症成分
副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)の持つ抗炎症作用に着目し、それと共通する化学構造(ステロイド骨格)を持つ化合物が人工的に合成され、抗炎症成分(ステロイド性抗炎症成分)として用いられる。
外用の場合はいずれも末梢組織(患部局所)における炎症を抑える作用を示し、特に、痒かゆみや発赤などの皮膚症状を抑える。
成分
デキサメタゾン、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、プレドニゾロン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、ヒドロコルチゾン酢酸エステル
- 末梢組織の免疫機能を低下させる作用も示し、細菌、真菌、ウイルス等による皮膚感染(みずむし・たむし等の白癬症、にきび、化膿症状)や持続的な刺激感の副作用が現れることがある。水痘とう(水疱瘡ぼうそう)、みずむし、たむし等又は化膿している患部については症状を悪化させるおそれがあり、使用を避ける必要がある。
- 広範囲に生じた皮膚症状や、慢性の湿疹しん・皮膚炎を対象とするものではない。
- ステロイド性抗炎症成分をコルチゾンに換算して1g又は1mL中0.025mgを超えて含有する製品では、特に長期連用を避ける必要がある。
非ステロイド性抗炎症成分
分子内にステロイド骨格を持たず、プロスタグランジンの産生を抑える作用(抗炎症作用)を示す成分を非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)という。
皮膚の炎症によるほてりや痒み等の緩和を目的として用いられる成分
湿疹ん、皮膚炎、かぶれ、あせも等による皮膚症状を緩和する。
成分
ウフェナマート
副作用として、刺激感(ヒリヒリ感)、熱感、乾燥感が現れることがある。
筋肉痛、関節痛、打撲、捻挫等による鎮痛等を目的として用いられる成分
プロスタグランジンの産生を抑える作用を示し、筋肉痛、関節痛、肩こりに伴う肩の痛み、腰痛、腱けん鞘しょう炎、肘の痛み(テニス肘等)、打撲、捻挫に用いられる。
小児への使用については有効性・安全性が確認されておらず、インドメタシンを主薬とする外皮用薬では、11歳未満の小児(インドメタシン含量1%の貼付剤では15歳未満の小児)、その他の成分を主薬とする外用鎮痛薬では、15歳未満の小児向けの製品はない。
成分
インドメタシン
- 11歳未満の小児(インドメタシン含量1%の貼付剤では15歳未満の小児)向けの製品はない。
ケトプロフェン
- チアプロフェン酸、スプロフェン、フェノフィブラート(いずれも医療用医薬品の有効成分)又はオキシベンゾン、オクトクリレン(化粧品や医薬部外品に紫外線吸収剤として配合される化合物)のような物質で、アレルギー症状(発疹しん・発赤、痒かゆみ、かぶれ等)を起こしたことがある人については、使用を避ける。
- まれに重篤な副作用として、アナフィラキシー、接触皮膚炎、光線過敏症を生じる。
ピロキシカム
- 副作用として、光線過敏症の副作用を生じることがあり、野外活動が多い人では、他の抗炎症成分が配合された製品を選択する。
その他
成分
サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール
- 皮膚から吸収された後、サリチル酸に分解されて、末梢組織(患部局所)におけるプロスタグランジンの産生を抑える。
- 末梢の知覚神経に軽い麻痺を起こすことにより、鎮痛作用をもたらす。
イブプロフェンピコノール
- イブプロフェンの誘導体であるが、外用での鎮痛作用はほとんど期待されない。
- 専らにきび治療薬として用いられる。
グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム
- 比較的穏やかな抗炎症作用を示す。
局所麻酔成分
成分
ジブカイン塩酸塩、リドカイン、アミノ安息香酸エチル、テシットデシチン
- きり傷、擦り傷、掻き傷等の創傷面の痛みや、湿疹、皮膚炎、かぶれ、あせも、虫さされ等による皮膚の痒みを和らげる。
アンモニア
- 皮膚刺激性が強いため、粘膜(口唇等)や目の周りへの使用は避ける必要がある。
抗ヒスタミン成分
湿疹、皮膚炎、かぶれ、あせも、虫さされ等による皮膚の痒ゆみの発生には、生体内の伝達物質であるヒスタミンが関与している。外用薬で用いられる抗ヒスタミン成分は、適用部位の組織に浸透して、肥満細胞から遊離したヒスタミンとその受容体タンパク質との結合を妨げることにより、患部局所におけるヒスタミンの働きを抑える。
成分
ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェニルイミダゾール、イソチペンジル塩酸塩
- 湿疹しん、皮膚炎、かぶれ、あせも、虫さされ等による一時的かつ部分的な皮膚症状(ほてり・腫れ・痒み等)を緩和する。
- 副作用として、患部の腫れが現れることがある。
局所刺激成分
いずれも目や目の周り、粘膜面には刺激が強すぎるため、使用を避ける。
冷感刺激成分
皮膚表面に冷感刺激を与え、軽い炎症を起こして反射的な血管の拡張による患部の血行を促す。知覚神経を麻痺させることによる鎮痛・鎮痒の効果を示す。
成分
メントール、カンフル、ハッカ油、ユーカリ油
温感刺激成分
皮膚に温感刺激を与え、末梢血管を拡張させて患部の血行を促す効果を示す。
成分
カプサイシン、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、クロタミトン
- 副作用として痛みが現れることがある。
- 貼付部位をコタツや電気毛布等の保温器具で温めると強い痛みを生じやすくなる。
- クロタミトンは、皮膚に軽い灼熱感を与えることで痒みを感じにくくさせる。
収斂・皮膚保護成分
成分
酸化亜鉛
- 患部のタンパク質と結合して皮膜を形成し、皮膚を保護する。
ピロキシリン(ニトロセルロース)
- 創傷面に薄い皮膜を形成して保護する。
組織修復成分
成分
アラントイン、ビタミンA油
- 損傷皮膚の組織の修復を促す
血管収縮成分
創傷面からの出血を抑える。
成分
ナファゾリン塩酸塩
- アドレナリン作動成分
血行促進成分
患部局所の血行を促す。
成分
ヘパリン類似物質、ポリエチレンスルホン酸ナトリウム、ニコチン酸ベンジルエステル、ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル、トコフェロール等)
- ヘパリン類似物質、ポリエチレンスルホン酸ナトリウムには、血液凝固を抑える働きがあるため、出血しやすい人、出血が止まりにくい人、出血性血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑症など)の診断を受けた人では、使用を避ける。
受診勧奨
ステロイド性抗炎症成分や、インドメタシン、ケトプロフェン、フェルビナク、ピロキシカム等の非ステロイド性抗炎症成分が配合された医薬品では、長期間にわたって使用することは適切でない。
医療機関を受診するなどの対応が必要な場合
- 5~6日間使用して症状が治まらない。
- 痛みが著しい、又は長引く、脱臼きゅうや骨折が疑われる。
- 慢性の湿疹や皮膚炎、又は皮膚症状が広範囲にわたって生じている。
- アトピー性皮膚炎
(参考)改訂版 この1冊で合格! 石川達也の登録販売者 テキスト&問題集 (KADOKAWA)、
登録販売者試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)(厚生労働省)
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