今回からは、基本情報技術者試験の科目Bで直接問われる「擬似言語」に焦点を当てたシリーズを始める。
なぜ、擬似言語なのか
基本情報技術者試験の科目Bでは、C言語やJavaのような特定のプログラミング言語ではなく、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が定めた独自の記法「擬似言語」を用いた問題が出題される。実務でプログラミング経験がある人であっても、この擬似言語の書き方・読み方に慣れていないと、問題の意図を正しく読み取れず失点してしまうことがある。
逆に言えば、擬似言語は特定の言語の文法を前提としていないため、擬似言語の読み方さえ押さえてしまえば、あとは純粋にアルゴリズムの理解力・トレース力の勝負になる。実務でC言語やGo、Kotlinを書いてきた経験があれば、ロジックを理解する土台としてそのまま活きてくる。
このシリーズで扱う内容
このシリーズでは、擬似言語の基本文法から、試験で問われる幅広いテーマまで、段階を追って整理していく。
最初にまず、手続きの宣言や変数の型、演算子といった土台となる基本文法を押さえる。そのうえで、if文・elseif文による条件分岐、while文・for文による繰り返し処理へと進み、擬似言語のプログラムを構成する基本的な部品をひと通り確認する。続けて、関数(手続き)の引数・戻り値・スコープといった考え方を整理し、実際の問題文を読み解くための解法テクニックや、見落としがちな細かい文法事項にも触れる。
基本文法が一通り揃ったところで、一次元配列・二次元配列を使った処理へと進む。配列を扱う問題は科目Bの中でも出題数が多く、走査・探索・集計といった典型パターンを繰り返しトレースしながら慣れていく。あわせて、「ありえない選択肢」を消去法で見抜くテクニックのように、素直にアルゴリズムを組み立てるだけでなく、選択肢問題ならではの解き方にも触れていく。
その先では、再帰、木構造、オブジェクト指向、リスト・スタック・キューといった、データ構造や設計の考え方に踏み込んだテーマを扱う。特にオブジェクト指向は擬似言語での独特な記法があり、複数回に分けてじっくり整理していく予定である。さらにシリーズの終盤では、ビット列を用いた演算(加算・減算・除算・論理演算・論理シフトなど)を扱い、コンピュータ内部でのデータの扱われ方まで含めて理解を深めていく。
これらは独立した単発の知識ではなく、それぞれが積み重なって次のテーマの理解につながっていく。例えば、配列操作を理解するには繰り返し処理(for文)の理解が前提になるし、再帰や木構造を理解するには関数(手続き)の基本的な考え方が前提になる。そのため、このシリーズはできる限り前から順番に読み進めることを想定しているが、個々の回は単独でも読めるように、その都度必要な前提には触れながら書いていく。
このシリーズの進め方
各回では、次のような構成を基本とする。
- 構文の説明:擬似言語での書き方と、その意味
- 具体例:実際のコード例
- トレース:値を1つずつ追いながら処理の流れを確認する
- 試験での出題パターン:穴埋め、トレース、書き換えなど、よく出る形式
- 学習のポイントとまとめ
とにかく「読んで分かった気になる」のではなく、自分の手を動かしてトレースすることを重視する。擬似言語の問題は、落ち着いて1行ずつ処理を追えば必ず解ける設計になっている一方、焦って読み飛ばすとケアレスミスをしやすいという特徴がある。このシリーズを通じて、丁寧にトレースする習慣を身につけることを目標にしたい。
まとめ
擬似言語は、特定のプログラミング言語の経験がなくても習得できるように設計された、基本情報技術者試験・科目B独自の記法である。
そして、擬似言語では、プログラムを書く力よりも「処理の流れを正しく読み取る力」が求められる。このシリーズでは、文法の暗記ではなく、具体例を使いながらアルゴリズムを理解することを目標に学習していこう。



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