FP2級の問題に挑戦!「不動産(実技編)」

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FP_E_不動産

本ブログでは、これまで「FP2級試験」の「学科試験」についてご紹介してきた。

ところで、FP試験(ファイナンシャル・プランニング技能検定)は1級、2級、3級とも学科試験実技試験で行われ、それぞれ合否判定を行う。

1級、2級は年3回の紙試験、3級は通年実施のCBT方式による実施となる。(2024年5月現在)
2級と3級の学科の問題は日本FP協会と一般社団法人金融財政事情研究会(金財)と共通である。
なお、実技試験は選択科目方式になっており、受検申請の際に試験科目(業務)を選択します。
ちなみに、2級では金財は、「個人資産相談業務」、「中小事業主資産相談業務」、「生保顧客資産相談業務」、「損保顧客資産相談業務」からの選択となる。
(参考)FP技能検定のサイト(一般社団法人金融財政事情研究会)

そこで、今回は、「不動産」の「実技試験」に挑戦してみよう。

【第4問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問10》~《問12》)に答えなさい。

《設 例》
会社員のAさん(57歳)は、8年前に父親の相続によりM市内(三大都市圏)にある甲土地(440㎡)を取得している。甲土地は、父親の代から月極駐車場(青空駐車場)として賃貸しているが、数台の空きがあり、収益性は高くない。
Aさんは、先日、ハウスメーカーのX社から「2年後、甲土地から徒歩10分の最寄駅近くに有名私立大学のキャンパスが移転してきます。需要が見込めますので、賃貸アパートを建築しませんか。弊社に一括賃貸(普通借家契約・マスターリース契約(特定賃貸借契約))していただければ、弊社が入居者の募集・建物管理等を行ったうえで、賃料を保証させていただきます」と提案を受けた。
Aさんは、X社の提案を積極的に検討したいと思っているが、賃貸アパートを経営した経験はなく、判断できないでいる。
<甲土地の概要>

・甲土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。
・指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
・特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 実技試験<個人資産相談業務>(2021年9月実施)

《問10》 甲土地上に耐火建築物を建築する場合における次の①、②を求めなさい(計算過程の記載は不要)。
① 建蔽率の上限となる建築面積
② 容積率の上限となる延べ面積

正解:①352㎡ ②880㎡

① 建蔽率の上限となる建築面積は、「敷地面積×建蔽率」で求める。

準防火地域に耐火建築物等を建築するため、10%加算、特定行政庁が指定する角地であるので、10%加算となり、建蔽率は60%+10%+10%=80% となる。

440㎡×80%=352㎡

② 容積率の上限となる延べ面積は、「敷地面積×容積率」で求める。

前面道路の幅員(複数の道路に面する場合は幅員が最大のもの)が12m未満の場合、
「前面道路の幅員×法定乗数により求めた容積率」と「指定容積率」のいずれか低い方を適用する。

指定容積率200% < $6m×\frac{4}{10}=240$%  ∴200%

440㎡×200%=880㎡

《問11》 X社が提案する賃貸アパートの自己建設方式に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

① 「Aさん自身が不動産賃貸事業の業務のすべてを行うのであれば、賃貸経営から得られる収益をすべて享受することができますが、専門的な知識や経験の有無、相応の手間と時間を要することを考えると、業務の全部または一部を外部の専門業者に委託することが現実的な選択であると思います」
② 「X社に一括賃貸(普通借家契約・マスターリース契約(特定賃貸借契約))することで、賃料収入が保証されることはメリットだと思います。普通借家契約の場合、借地借家法の規定により、X社から賃料の減額請求をされることはありません」
③ 「Aさんが金融機関から融資を受けて賃貸アパートを建築する場合、借入金による事業リスクを考慮する必要があります。DSCR(借入金償還余裕率)の値が1.0未満のときは、賃料収入だけでは借入金の返済が困難であることを示しています」

正解:① 〇 ② ✖ ③ 〇

① 正しい。

② 誤り。

マスターリース契約(特定賃貸借契約)を活用した契約であっても、普通借家契約の場合、サブリース業者から賃料の減額請求をされる可能性がある。

③ 正しい。

DSCR(借入金償還余裕率)は「1年間の純利益÷1年間の元利益返済額」で求められる。

《問12》 Aさんが甲土地に賃貸アパートを建築した場合における賃貸事業開始後の甲土地の
相続税評価額に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

① 「甲土地は、地積規模の大きな宅地の評価の規定の適用を受けることができます」
② 「甲土地は、貸家建付地として、『自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)』の算式により評価されます」
③ 「対象地の面する道路に付された『250D』『200D』の数値は、1㎡当たりの価額を
千円単位で表示した相続税路線価です。数値の後に表示されている『D』の記号(ア
ルファベット)は、借地権割合が70%であることを示しています」

正解:① ✖ ② 〇 ③ ✖

① 誤り。

「地積規模の大きな宅地の評価の規定の適用」は、「三大都市圏は500㎡以上、その他の地域は1,000㎡以上であること」等の適用要件がある。

甲土地は440㎡なので、適用対象外である。

② 正しい。

なお、建物は、貸家として「固定資産税評価額 ×(1-借家権割合 × 賃貸割合)で評価される。

③ 誤り。

路線価図の数値はその路線に面する宅地の1㎡あたりの価格(千円単位)、英字は借地権割合を示す。
借地権割合はA(90%)、B(80%)、C(70%)、D(60%)、E(50%)、F(40%)、G(30%)となる。

したがって、『D』は、借地権割合が60%であることを示している。

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