本稿は、「知的財産管理技能検定(知財検定という)」の3級の出題範囲の頻出論点をまとめたものである。
特許権の侵害
権原のない第三者が、業として、特許発明を実施することを特許権の侵害という。
取りうる対応
特許の有効性の確認
自己の特許に無効理由がないか等を確認
警告書の送付
特許権者又は専用実施権者(以下、特許権者等)は、侵害者に実施を中止するように警告書を送付する。
権利行使をする際に、必ず警告しなければならないわけではない。
民事上の請求(権利行使)
- 差止請求(特許法100条)
特許権者等は、侵害行為を止めない侵害者に対して、特許発明を実施を止めるように請求できる。 - 損害賠償請求(民法709条)
侵害によって生じた損害について、その賠償を請求できる。 - 不当利得返還請求(民法703条、704条)
侵害により得た利益の存する限度において、その利得の返還を請求できる。 - 信用回復措置請求(特許法106条)
裁判所に訴えて、業務上の信用回復のための必要な措置を請求できる。
(差止請求権)
第100条 特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
(略)
(信用回復の措置)
第106条 故意又は過失により特許権又は専用実施権を侵害したことにより特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、特許権者又は専用実施権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。
刑事罰
さらに、特許権を侵害する者に対しては、10年以下の懲役もしくは、1000万円以下の罰金が刑事罰として科され、場合によっては、両方が適用されることもある。(特許法196条)
(侵害の罪)
第196条 特許権又は専用実施権を侵害した者(第百一条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(参考)
- 23~’24年版 知的財産管理技能検定®3級 テキスト&過去問題集 宇田川貴央 (著) 秀和システム
- 知的財産管理技能検定3級公式テキスト[改訂14版] 知的財産教育協会 (編集) アップロード
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