民法トピックス「婚姻障害の不存在」

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婚姻 司法・法務

同性婚を認めていない民法や戸籍法の規定をめぐり、札幌高裁は14日、「憲法違反」だと強く踏み込んだ。

朝日新聞デジタル版 2024年3月14日 17時58分

このように、婚姻の在り方については、時代の流れとともに、見直される流れとなっている。

ここで、現行民法の婚姻制度について確認しておこう。

今回のテーマは、「婚姻の要件」のうち、「婚姻障害の不存在」である。

婚姻障害

婚姻適齢

婚姻は、18歳にならなければ、することができない。(民法731条)

重婚の禁止

配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。(732条)

法律婚は、一夫一妻制の原則を示すものである。

重婚状態にある場合、前婚については離婚原因(770条1項1号、5号)となり、後婚については、取消の対象となる。(744条)

刑法上も重婚は罪とされている。(刑法184条)

なお、前婚が相手方配偶者の死亡若しくは離婚によって解消した場合、後婚を取り消すことはできなくなる。

再婚禁止期間

女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。(733条1項)

令和4年12月10日、民法の嫡出推定制度の見直し等を内容とする民法等の一部を改正する法律(令和4年法律第102号。以下「本法律」といいます。)が成立し、同月16日に公布されました。本法律は、令和6年4月1日から施行されます(懲戒権に関する規定等の見直しに関する規定は、令和4年12月16日から施行されました。)。
 
1 嫡出推定制度の見直しのポイント
 ○ 婚姻の解消等の日から300日以内に子が生まれた場合であっても、母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定することとしました。
 ○ 女性の再婚禁止期間を廃止しました
 ○ これまでは夫のみに認められていた嫡出否認権を、子及び母にも認めました。
 ○ 嫡出否認の訴えの出訴期間を1年から3年に伸長しました。

法務省Webサイトより(注:アンダーライン等筆者)

第733条 削除
民法(令和6年4月1日現在)

近親婚の禁止

(近親者間の婚姻の禁止)
第734条 直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
 第八百十七条の九の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。

(直系姻族間の婚姻の禁止)
第735条 直系姻族の間では、婚姻をすることができない。第七百二十八条又は第八百十七条の九の規定により姻族関係が終了した後も、同様とする。

(養親子等の間の婚姻の禁止)
736 養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第七百二十九条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。

民法・e-Gov法令検索

婚姻の取消しの効果

身分上の効果

婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。(748条1項)

遡及効はない

財産上の効果

婚姻の時においてその取消しの原因があることを知らなかった当事者が、婚姻によって財産を得たときは、現に利益を受けている限度において、その返還をしなければならない。(748条2項)

婚姻の時においてその取消しの原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。この場合において、相手方が善意であったときは、これに対して損害を賠償する責任を負う。(748条3項)

参考文献)C-Book 民法V〈親族・相続〉 改訂新版(東京リーガルマインド)、民法VI 親族・相続〔第6版〕(有斐閣)

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