FPまとめノート13「雇用保険」

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雇用保険 FP_A_ライフプランニングと資金計画

本稿は、「ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP検定)」の1~3級(学科試験)で出題される頻出論点をまとめたものである。

今回のテーマは、「A ライフプランニングと資金計画」から「雇用保険(介護休業給付金・育児休業給付金・出生時育児休業給付金のポイント)」である。

介護休業給付金・育児休業給付金・出生時育児休業給付金のポイント

介護休業給付金

介護休業給付金は、要件を満たす介護休業について、支給対象となる同じ対象家族について93日を限度に3回までに限り支給される。
対象家族:配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母(同居かつ扶養している必要はない)

介護休業給付金の支給額=休業開始時賃金日額×支給日数×67%

育児休業給付金

育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が、原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得して、以下の要件を満たした場合に支給される。
休業開始日から、当該休業に係る子が1歳(いわゆるパパ・ママ育休プラス制度を利用して育児休業を取得する場合は1歳2か月。さらに保育所における保育の実施が行われない等の場合は1歳6か月または2歳)に達する日前までにあるものとなる。

  1. 1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。
  2. 育児休業を開始した日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)月が12か月以上あること。
         育児休業を開始した日前2年間に上記の月数が12か月ない場合であっても、当該期間中に第1子の育児休業や本人の疾病等により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間がある場合は、受給要件が緩和され、支給要件を満たす場合がある。
  3. 1支給単位期間中(支給単位期間とは、育児休業を開始した日から起算した1か月ごとの期間(その1か月の間に育児休業終了日を含む場合はその育児休業終了日までの期間)をいう。以下同じ。)の就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下であること。

育児休業給付金の支給額=休業開始時賃金日額×支給日数×67%(50%)
※育児休業開始から181日目以降は50%

出生時育児休業給付金

出生時育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が、産後パパ育休(出生時育児休業)を取得して、以下の要件を満たした場合に支給される。

  1. 子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間を定めて、当該子を養育するための産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。
  2. 育児休業を開始した日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)月が12か月以上あること
  3. 休業開始中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下であること。(「最大」は、28日間の休業を取得した場合の日数・時間。休業期間が28日間より短い場合には、その日数に比例して短くなる。)

出生時育児休業給付金の支給額=休業開始時賃金日額※×休業期間の日数(28日が上限)× 67%
※育児休業給付金と同じ

支給要件の共通している特徴

それぞれの給付金は、休業を開始した日以前2年間に、みなし被保険者期間が、通算して12か月以上あるとき、支給単位期間について支給される。

みなし被保険者期間:賃金支払基礎日数が11日以上ある場合、その期間をみなし被保険者期間1か月として計算する。
支給単位期間:支給単位期間とは、休業を開始した日から起算した1か月ごとの期間(その1か月の間に休業終了日を含む場合はその休業終了日までの期間)をいう。

なお、介護休業期間中就労した場合、1支給単位期間において、就労している日数が10日以下でなければ、その支給単位期間については支給対象とならない。
また介護休業終了日の属する1か月未満の支給単位期間については、就労している日数が10日以下であるとともに、全日休業している日が1日以上あることが必要である。
この就労している日数は、在職中の事業所以外で就労した分も含まれる。

育児休業給付金、出生時育児休業給付金については、それぞれ前述したとおりである。

支給単位期間と賃金

1支給単位期間において、休業開始時賃金日額(※1)×支給日数(※2)の80%以上の賃金が支払われている場合は、支給額は、0円となる
また、80%に満たない場合でも、収入額に応じて、支給額が減額される場合がある。

(※1) 休業開始時賃金日額は、原則として、休業開始前6か月間の総支給額(保険料等が控除される前の額。賞与は除きます。)を180で除した額である。
(※2) 1支給単位期間の支給日数は、原則として、30日(ただし、休業終了日を含む支給単位期間については、その休業終了日までの期間)となる。

育児休業給付の内容と支給申請手続(厚生労働省)

出題例

3級

(33) 雇用保険の育児休業給付金の額は、当該育児休業給付金の支給に係る休業日数が通算して180日に達するまでは、1支給単位期間当たり、原則として休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の(  )相当額となる。
1) 50%
2) 67%
3) 75%

正解:2

育児休業給付金の支給額=休業開始時賃金日額×支給日数×67%(50%)
※育児休業開始時から181日目以降50%

2級

問題 4
雇用保険の育児休業給付および介護休業給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
なお、記載されたもの以外の要件はすべて満たしているものとする。

1.育児休業給付金は、子が1歳に達した日後の期間について休業することが特に必要と認められる場合、最長で子が1歳2ヵ月に達する日の前日まで支給される。
2.育児休業給付金に係る支給単位期間において支払われた賃金額が、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の80%相当額以上である場合、当該支給単位期間について育児休業給付金は支給されない。
3.被保険者が、一定の状態にある家族を介護するための休業をした場合、同一の対象家族について、通算3回かつ93日の介護休業を限度として、介護休業給付金が支給される。
4.複数の被保険者が、同一の対象家族について同時に介護休業を取得した場合、それぞれの被保険者に介護休業給付金が支給される。

 2級 学科試験(2023年5月28日実施)

正解:1

1 誤り。

育児休業給付金は、雇用保険の被保険者の方が、原則1歳未満の子を養育するために育児休業※を取得して、要件を満たした場合に支給される。
休業開始日から、当該休業に係る子が1歳(いわゆるパパ・ママ育休プラス制度を利用して育児休業を取得する場合は1歳2か月。さらに保育所における保育の実施が行われない等の場合は1歳6か月または2歳)に達する日前までにあるものとなる。

したがって、最長で子が1歳2ヵ月に達する日の前日までではない。

2 正しい。

休業期間中に賃金が支払われている場合は、その額が休業開始前賃金月額の80%未満であることが支給の要件となる。

3 正しい。

介護休業給付金は、要件を満たす介護休業について、支給対象となる同じ家族について93日を限度に3回までに限り支給される。

4 正しい。

複数の被保険者が同時に介護休業を取得した場合、それぞれ、支給要件を満たせば支給可能である。

(参考)Q&A~育児休業給付~(厚生労働省)
   Q&A~介護休業給付~(厚生労働省)

1級

《問3》 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)の育児休業、出生時育児休業(以下、「産後パパ育休」という)および雇用保険法の育児休業給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。

1) 子を養育する母が産前産後休業に引き続き育児休業を取得している場合であっても、当該子の父は子の出生日から子が1歳に達する日の前日まで育児休業を取得することができる。
2) 子を養育する父は、当該子の出生日後8週間以内に4週間の産後パパ育休を2回に分けて取得することができる。
3) 育児休業給付金の受給者が、保育所等における保育の利用を希望して申込みを行っているが、養育する子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われないなどの事情があるため、子が1歳6カ月に達する日まで育児休業を申し出た場合、子が1歳6カ月に達する日の前日まで育児休業給付金を受給することができる。
4) 子を養育する父が産後パパ育休期間中に7日を超えて就業した場合、出生時育児休業給付金は受給することができない。

1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)

正解:4

1 正しい。

育児休業とは、労働者が原則1歳未満のこどもを養育するための休業で、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以降「育児・介護休業法」という)に定められている。(育児・介護休業法5条)
男女を問わず労働者は取得できるので、夫婦同時でも取得できる。

2 正しい。

子を養育する父は、当該子の出生日後8週間以内に4週間の産後パパ育休を2回に分けて取得することができる。
(育児・介護休業法9条の2)

3 正しい。

育児休業給付金の受給者が、保育所等における保育の利用を希望して申込みを行っているが、養育する子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われないなどの事情があるため、子が1歳6カ月に達する日まで育児休業を申し出た場合、子が1歳6カ月に達する日の前日まで育児休業給付金を受給することができる。

なお、子が1歳6カ月に達する時点でも同様の状況の場合は、その子が2歳に達する日前までの期間、育児休業給付金の支給対象となる。
(雇用保険法61条の7)

4 誤り。

出生時育児休業給付金とは
出生時育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が、産後パパ育休(出生時育児休業)を取得して、一定の要件を満たした場合に支給される。

その一つが、休業開始中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下であることとなっている。

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