本稿は、「ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP検定)」の1~3級(学科試験)で出題される頻出論点をまとめたものである。
今回は、
- ライフプランニングと資金計画
- リスク管理
- 金融資産運用
について、頻出ポイントを整理した。
A ライフプランニングと資金計画
資金計画のための6つの係数
- 終価係数・・・現在の資金を複利運用したら、将来いくらになるのか(終価)を求める。
- 現価係数・・・将来の目標金額のために現在いくら必要か(現価)を求める。
- 年金終価係数・・・毎年の積立額(年金形式)から、将来の元利合計(終価)を求める。
- 減債基金係数・・・将来の目標金額のために必要な毎年の積立額を求める。
- 資本回収係数・・・現在の額を運用しながら、受け取れる年金額や住宅ローンなどの借入金に対する利息を含めた毎年の返済額を求める。
- 年金現価係数・・・希望する年金額を受け取れるために必要な年金原資や住宅ローンなどの年間のローン返済額から借入可能額を求める。
1級においては、さらに、以下の関係を確認しておくとよい。
6つの係数の逆数
- 一時金運用の将来&現在を計算 終価係数&現価係数
- 積立て運用の将来&現在を計算 年金終価係数&減債基金係数
- 取崩し運用の将来&現在を計算 資本回収係数&年金現価係数
それぞれ、逆数(1÷他方の係数)となっており、片方の係数がわからないときは、
知りたい金額 = 元になる金額÷逆数となる係数
として使う。
フラット35
フラット35(買取型)の概要
条件 | 申し込み日に70歳未満であること。年収に占める総返済負担率の基準を満たすこと。 総返済負担率:年収400万円未満は、30%以下、400万円以上は35%以下 本人や親族が住むための住宅である。 |
対象住宅 | 床面積70㎡以上。(共同住宅は30㎡以上)技術要件に適合する住宅。 敷地面積要件なし |
融資額 | 100万円以上8,000万円以下(1万円単位)で、建設費※1 または購入価額(非住宅部分に係るものを除く※2。)以内 ※1 土地取得費に対する借入れを希望する場合は、その費用を含む。 ※2 店舗、事務所などの非住宅部分に係る建設費または購入価額は借入対象外となる。 |
返済期間 | 最長35年(完済時の年齢は80歳以下) |
返済方法 | 元利均等方式または元金均等方式を選択。 6か月ごとのボーナス返済(融資額の40%以内)可 |
金利 | 固定金利(適用金利は融資実行時点) 利率は取扱金融機関がそれぞれ独自に決定 融資率が9割超の場合、借入金全体の金利が一定程度高く設定。 |
その他 | 保証人や保証料は不要。 繰上げ返済の手数料は無料で、窓口は100万円以上、インターネットは10万円以上から行える。 |
雇用保険のポイント
雇用保険は、政府が管掌する強制保険である。常用であるか否かを問わず、所定労働時間が週20時間以上で、かつ、雇用見込みが31日以上の者が対象になる。
一般被保険者は65歳になると自動的に高年齢被保険者となる。
保険料
失業等給付、育児休業給付の保険料は労使折半、その他の保険料は、事業主が負担する。
基本手当
受給資格
離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上、,倒産・解雇では解職の日以前1年間に6か月以上)ある65歳未満の人が、離職し、失業の認定を受けた場合に支給される。
給付日数(基本手当がもらえる限度となる日数)
- 一般受給者資格(自己都合退職、定年退職)は、被保険者期間で決まる。20年以上で150日。
- 特定受給者資格(倒産、解雇、会社都合)は、被保険者期間と年齢で決まる。最長で330日。
高年齢求職者給付金
65歳以上で離職した場合、高年齢被保険者として雇用保険に加入し、求職活動中に基本手当に代えて高年齢求職者給付金が一時金で支給される。なお、高年齢求職者給付金と老齢厚生年金は調整されず、いずれも全額支給される。
算定基礎期間 | 1年未満 | 1年以上 |
---|---|---|
基本手当の日数に乗ずる日数 | 30日 | 50日 |
高年齢雇用継続給付
受給資格
- 被保険者であった期間が、5年以上ある60歳以上65歳到達月までの被保険者。
- 原則60歳到達時の賃金月額より75%未満である。
なお、60歳時点の賃金の61%未満に低下した場合に支給率は最大となり、各月の賃金の15%相当額が支給される。
次の2種類がある。
高年齢雇用継続基本給付金 | ・基本手当を受給しないで、雇用継続した場合に支給。 ・支給期間は60歳以上65歳到達月まで。 |
高年齢再就職給付金 | ・基本手当を受給し、受給日数を100日以上残して再就職した場合に支給。 ・支給期間は、残日数200日以上は2年。残日数100日以上は1年。(ただし、65歳到達月まで。) |
育児休業給付金
原則1歳(父母共に育児休業する場合=パパママ育休プラス制度は、1歳2か月、保育所に入れない場合は最長2歳)未満の子を養育するための休業であり、賃金の支払いがない場合に支給。
被保険者期間:原則として、休業開始日前2年間に、みなし被保険者期間が通算で12か月以上なければならない。
育児休業給付金の支給額=休業開始時賃金日額×支給日数×67%(50%)
※育児休業開始から181日目以降は50%
出生時育児休業給付金
出生時育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が、産後パパ育休(出生時育児休業)を取得して、以下の要件を満たした場合に支給される。
- 子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間を定めて、当該子を養育するための産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。
- 育児休業を開始した日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)月が12か月以上あること
- 休業開始中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下であること。(「最大」は、28日間の休業を取得した場合の日数・時間。休業期間が28日間より短い場合には、その日数に比例して短くなる。)
出生時育児休業給付金の支給額=休業開始時賃金日額※×休業期間の日数(28日が上限)× 67%
※育児休業給付金と同じ
老齢基礎年金の額(2023年度)
795,000円
国民年金保険料の一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)の承認を受けた期間は、減額された保険料を納めていない場合、未納期間扱いとなる。そのため、上記計算式においては、それぞれ4分の3免除を4分の1納付、半額免除を半額納付、4分の1免除を4分の3納付と表記している。
68歳以上:792,600円
(参考)老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額(日本年金機構のWebサイト)
B リスク管理
任意の自動車保険
対人賠償保険
- 他人(家族以外)を死傷させた場合、自賠責保険で支払われる金額を超える部分のみを補填
- 酒酔い運転、無免許運転(免許失効中も含む)による事故も補償
- 本人・配偶者・父母・子が被害者の場合、保険金は支払われない
- 保険金の額は無制限にできる
対物賠償保険
- 他人(家族以外)の物を壊した場合、損害額を補填
- 本人・配偶者・父母・子の財物は補償されない
- 酒酔い運転、無免許運転(免許失効中も含む)による事故も補償
- 保険金の額は無制限にできる
車両保険
- 衝突、接触、爆発、盗難などの事故による車両損害等に対する補償
- 「一般条件」の場合、他車との衝突、盗難、火災、台風による洪水や高潮のほか、単独事故、当て逃げによる損害は、いずれも補償されるが、「車対車+A」(エコノミー型)などの補償範囲限定タイプは、一般に単独事故、当て逃げは補償されない
- 地震、噴火、津波による損害は、特約がなければ、補償されない
人身傷害補償保険
事故で死傷したり、後遺障害を被った場合、示談を待たずに、自分の過失部分も含めて、保険金額を限度とする損害額の全額が過失相殺されず自分の保険会社から支払われる。
フリート契約とノンフリート契約
自動車1台ごとの事故実績により保険料率を算出、ノンフリート等級(1~20等級)により保険料が異なる。等級が高い(1→20)ほど保険料は安い。6等級から開始・・・ノンフリート契約
10台以上の自動車を対象に契約者単位の損害実績により、割引・割増保険料を適用し、保険料率を算出・・・フリート契約
C 金融資産運用
株式投資
配当性向と内部留保率
配当性向とは
配当金を当期純利益で割ることで求められる指標で、利益のうち、株主に還元した割合がわかる。
配当性向(%) = $\frac{配当金総額}{当期純利益}×100$
内部留保率(%) =1-配当性向
ROA
ROA(使用総資本事業利益率)とは
会社全体の経営効率をみる指標である。
ROA(使用総資本事業利益率)(%)=$\frac{事業利益}{使用総資本(総資産)}×100$
事業利益=営業利益+受取利息及び受取配当+有価証券利息+持分法による投資利益
【2指標分解】=売上高事業利益率×総資本(総資産)回転率
売上高事業利益率=$\frac{事業利益}{売上高}$ 総資本(総資産)回転率=$\frac{売上高}{総資本(総資産)}$
なお、分子の利益を経常利益にすると、総資産経常利益率となる。
ROE
ROE(自己資本利益率)とは
自己資本を使ってどれだけ最終利益を上げているのかを見る指標。その会社の収益力を表す。
自己資本利益率(%)(ROE) =$\frac{当期純利益}{自己資本}×100$
サスティナブル成長率
サスティナブル成長率(%) = ROE × 内部留保率
=ROE ×(1-配当性向)
インタレスト・カバレッジ・レシオ
会社の借入金等の利息の支払能力をみる指標である。数値が高いほど財政的に余裕があると判断される。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=$\frac{事業利益}{金融費用}$
事業利益=営業利益+受取利息及び受取配当+有価証券利息+持分法による投資利益
金融費用=支払利息及び割引料+社債利息
ポートフォリオ理論
ポートフォリオの期待収益率と標準偏差
ポートフォリオ期待収益率
ポートフォリオ期待収益率は、ポートフォリオに組入れた各資産の期待収益率をポートフォリオへの組入比率で加重平均した値。
ポートフォリオの期待収益率 =(期待収益率×組入比率)の合計
ポートフォリオの標準偏差
ポートフォリオの標準偏差は、ポートフォリオに組入れた各資産の標準偏差を組入比率で加重平均した値以下となる。これが、ポートフォリオ運用によるリスク低減効果(ポートフォリオ効果)である。
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